100号

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68 高知論叢 第100号みたとき,身体介護と家事援助の双方が含まれたサービス提供がごく自然な自立支援の形であり,身体・複合・家事の序列や区分を設けること自体が目的とニーズにあったサービス提供を妨げている面....

68 高知論叢 第100号みたとき,身体介護と家事援助の双方が含まれたサービス提供がごく自然な自立支援の形であり,身体・複合・家事の序列や区分を設けること自体が目的とニーズにあったサービス提供を妨げている面がある」と指摘したうえで,「基本的には訪問介護区分の一本化が望ましいが,少なくとも区分の簡素化を行うべきである。区分の簡素化については,身体介護と生活介護の2区分とし,生活介護の中に従来の複合型・家事援助を含めるような区分設定・報酬単価について検討を行うべきである」と提起した。家事援助についても,「訪問介護の家事援助は,単なる家事の代わり・手伝いではなく,利用者の全人格と全生活に関わるサービスであり,きわめて専門性があり細やかな配慮が必要な在宅生活を支える基盤サービスである」と指摘したうえで,「家事援助の重要性を適正に評価し,家事援助の報酬単価は大幅に引き上げるべきである」と提起した。日本生活協同組合連合会11も,3類型について,「訪問介護サービスは,(中略)介護,家事援助,相談援助が一体的に提供されるべきもので,(中略)区分することの是非も含めて見直しが必要」とした。また,家事援助の報酬単価は身体介護よりも極端に低いとし,その結果,利用者のモラルハザードを助長し,人的資源の確保にも大きな影響を与え,経営収支も悪化していると問題点を指摘した。さらに,訪問介護員の多くが移動時間や記録,ケースカンファレンスの時間やその賃金が保障されず,研修なども十分ではないなど,業務を行ううえで必要な条件・基盤整備が不十分であるという問題にも言及した。上記をはじめとする事業者団体の意見をふまえ,第9回介護給付費分科会(2002年5月13日)では,訪問介護の報酬体系の見直し案が3つ示された。A案は3類型を維持するもの,B 案は「複合型」を廃止し,「身体介護」と「生活支援(仮称)12」の2類型とし,それまでの「家事援助」に加え,身体介護の経営指導や情報連絡などの業務を行う。当時362のJA で訪問介護,通所介護,居宅介護支援事業等を実施する。第7回介護給付費分科会(2002年4月8日)資料参照。11 生活協同組合の全国連合会。1983年から開始した福祉活動を基盤として,介護保険事業を実施している。当時会員数は587生協,47都道府県連である。第7回介護給付費分科会(2002年4月8日)資料参照。12 介護給付費部会での議論や事業者団体へのヒアリングのなかで,従来の「家事援助」の名称に問題があるとする意見が出され,最終的には「生活援助」へ名称変更とされた。