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70 高知論叢 第100号「法律の施行後五年を目途としてその全般に関して検討が加えられ,その結果に基づき,必要な見直し等の措置が講ぜられるべきもの」とされている。この規定により,2003年5月に社会保障審議会介....

70 高知論叢 第100号「法律の施行後五年を目途としてその全般に関して検討が加えられ,その結果に基づき,必要な見直し等の措置が講ぜられるべきもの」とされている。この規定により,2003年5月に社会保障審議会介護保険部会が新たに設置され,制度全般に関わる見直しの議論が行われた。以下では,介護報酬体系に関わり,かつ介護保険制度の理念やあり方に関わる非常に重大な改定となる「新・予防給付」について検討する。介護保険部会は2004年7月,それまでの審議をまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」を提出した14。第1部の「制度見直しの基本的な考え方」において,「見直しの基本的視点」として,①制度の「持続可能性」,②「明るく活力ある超高齢社会」の構築,③社会保障の総合化があげられ,②のなかで,「要介護状態の予防・改善を重視した『予防重視型システム』への転換を図ることが重要である。また,経済活性化や雇用創出,地域再生の面で期待される役割は大きい」とし,新たな給付システムへの転換を示唆した。また,「新たな課題への対応」として,その最初に「介護予防の推進」をあげ,要介護状態になる前の段階から軽度の要介護者(要支援,要介護1程度)に対して,「統一的な体系の下で,効果的な介護予防サービスが提供される『総合的な介護予防システム』を確立する」必要性を述べた。さらに,第2部の「制度見直しの具体的内容」において,サービスの現状について,①介護予防に関連する制度・事業は一貫性・連続性に欠け,内容が不十分,②要支援,要介護1が増加し全体の5割近くに達しているが,これら軽度者に対するサービスが,利用者の状態の改善につながっていない,という問題を指摘した。そのうえで,①市町村を責任主体とする統一的な介護予防マネジメントの確立,②市町村の老人保健事業を基本的に見直し,介護保険制度に基づく事業に位置づけることの検討,③要支援,要介護1などの軽度者を対象とした「新・予防給付」の創設,という具体策が提起された。さらに「新・予防給付」として,「筋力向上トレーニング(機械器具を使うものに限らない),転倒骨折予防,14 第16回介護保険部会(2004年7月30日)資料参照。