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72 高知論叢 第100号する形で,制限的に運用すべきである」などの意見があった。また,定額制の介護報酬について,「利用者の状態やサービス利用の実態等を踏まえ,複数段階での定額化の検討を行う」ことが提案された。一方,従来からの訪問介護の介護報酬については,「将来的な『機能別再編』を視野に入れつつ,平成18年4月改定においては,『身体介護』と『生活援助』という現行の2区分の体系を維持しつつ,生活援助についての見直しを行う必要がある」という意見が多く出された。これに対し,重度者に利用の多い「身体介護」の単価が引き下げられることになり,在宅における中重度者へのサービスの充実」という点から問題があるという意見もあった。さらに,従来からの「生活援助」についても,時間単位ではなく月単位の定額化を行うべきとの意見があったが,これに対しては,利用頻度にばらつきがあるなかでは,時間単位により長時間利用を「適正化する」ことが現実的であると反論があった。こうした議論をふまえて,2006年1月,介護給付費分科会は介護報酬の機能別再編に向けて,今後訪問介護の行為内容の調査研究を行う必要性を併記した答申を行い,最終的な改定に至った。2006年から導入された新たな予防給付は要支援1,218の軽度者を対象にするもので,訪問介護は「介護予防訪問介護」という名称で給付されることになった。特に,「本人が自力で家事等を行うことが困難な場合であって,家族等の支え合いや他の福祉施策等の代替サービスが利用できない場合について,適切なマネジメントに基づき,サービスを提供」するとして,サービス利用の厳格化が図られた。具体的には,独居や同居家族の障害・疾病などのため自ら日常生活上必要な家事を行うことが困難な要支援者に対し,①入浴,排泄,食事等の介護,②調理,洗濯,掃除等の家事,③生活等に関する相談及び助言などを行う19ものである。また,「介護予防訪問介護」の報酬は,「身体介護」,「生活援助」の区分を一18 この制度改正により要介護区分が変更され,「要支援」に新たな区分が設けられた。これにより,従来の「要支援」は「要支援1」に,「要介護1」が「要支援2」あるいは「要介護1」に移行することとなった。19 介護保険事業運営の手引編集委員会〔2010〕『介護保険事業運営の手引 訪問介護編改訂版』参照。