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76 高知論叢 第100号介護員及びサービス提供責任者の介護職員基礎研修の受講や資格取得(介護福祉士,1級訪問介護員など)などに関する一定の要件を満たした事業所が提供するサービスに対し行われる「特定事業所加....

76 高知論叢 第100号介護員及びサービス提供責任者の介護職員基礎研修の受講や資格取得(介護福祉士,1級訪問介護員など)などに関する一定の要件を満たした事業所が提供するサービスに対し行われる「特定事業所加算」である。要件ごとに,①所定単位数の20%を加算する「特定事業所加算(Ⅰ)」,②所定単位数の10%を加算する「特定事業所加算(Ⅱ)」,③所定単位数の5%を加算する「特定事業所加算(Ⅲ)」の3類型が設定され,その要件が見直された(図2参照)。第2に,サービス提供責任者の労力に着目した評価を行うものとして,①「初回加算」と②「緊急時訪問介護加算」が新たに設定された24。①は新規に訪問介護計画を策定した利用者に対し,初回に実施した訪問介護と同月内に,サービス提供責任者が自ら訪問介護を行う場合または他の訪問介護員などが訪問介護を行う際に同行訪問した場合の加算で,月当たり200単位が算定される。また②は,利用者やその家族から要請を受けて,サービス提供責任者がケアマネージャーと連携を図り,ケアマネージャーが必要と認めたときに,サービス提供責任者またはその他の訪問介護員などが居宅サービス計画にない訪問介護(身体介護)を行った場合の加算で,1回当たり100単位が加算される。第3に,介護従事者の賃金の「地域差」への対応についてである。第3章で触れたように,特に都市部の事業所において人件費が高く経営を圧迫することから,そうした地域差をふまえ報酬単価に一定の加算をするしくみがあった。これは全国を5つの地域(特別区,特甲地,甲地,乙地,その他)に区分し,加算割合をそれぞれ12%,10%,6%,3%,0%としていたものを,2009年から15%,10%,6%,5%,0%へと見直すこととした。さらに,各サービスの「人件費割合」とその区分も見直され,訪問介護の人件費割合は60%から70%へと引き上げられた(図3参照)。2009年度の改定では3%のプラス改定(うち,在宅分1.7%,施設分1.3%)が行われたが,この改定における最も重要な点は,介護従事者の所有資格や勤続年数,勤務形態,地域間の賃金格差,事業所の研修体制の有無といった,事業運営やサービス提供にかかる人件費部分を重点的に評価し,報酬算定に明確に24 金子勝・結城康博〔2009b〕『介護保険再改正と報酬改定の課題』,p. 272。