100号

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78 高知論叢 第100号反映させることであり,介護保険導入以前の「人件費補助方式」(本稿第2章参照)における算定方式に部分的に立ち返るものであるといえる。しかし,実際にこうした報酬算定・加算の基準や水準の....

78 高知論叢 第100号反映させることであり,介護保険導入以前の「人件費補助方式」(本稿第2章参照)における算定方式に部分的に立ち返るものであるといえる。しかし,実際にこうした報酬算定・加算の基準や水準のもとで,専門性の高い介護従事者を確保し,サービスの質の向が図られるかについては疑問が残る。また,介護の手間に応じてサービス内容を定型化し,所要時間に着目した報酬算定を基本とする点に変わりはなく,「身体介護」と「家事援助」の2類型も維持された。訪問介護の介護報酬は,30分未満の「身体介護」と30分以上1時間未満の「生活援助」で単価の引き上げがあった(表10参照)。また,介護予防訪問介護の報酬単価はこの改定では据え置かれた(表8参照)。2.介護報酬のあり方(1)訪問介護の専門性と類型化2006年改定に関する議論において,訪問介護における「身体介護」と「生活援助」の報酬を将来的に一本化する方向が示されたものの,その実現は先送りされたままである。制度施行当初は,「身体介護」と「生活援助」(当時の呼称は「家事援助」)の報酬単価には2.6倍程度の開きがあったが,「生活援助」は誰でもできる家事サービスあるいは家事労働の代替のように捉えられ,その専門性に対する評価が「身体介護」に比べ相当に低いことは明らかである。訪問介護における「生活援助」は決して家事サービスと同様な,あるいはその延長上で遂行できるものではなく,利用者の日常生活を管理し,自立を支援するためのケアマネジメントやケアプランの一環として行われるべき専門的な支援である。提供するサービスが掃除,洗濯,調理などであっても,利用者 表10 介護報酬(2009~2011年度)30分未満30分以上1時間未満1時間以上以降,30分増すごと身体介護中心型254単位402単位584単位83単位加算生活援助中心型設定なし229単位291単位設定なし注)単位は5つの地域区分に応じ,1単位=10.00~11.05円の5段階に設定される。出所)厚生労働省告示「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(介護保険制度研究会『介護保険関係法令実務便覧』)を参照し,筆者作成。