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介護労働の変容と財政課題79の生活状況を把握し,利用者の有する能力や身体・精神状態の変化に応じてADL を維持・向上させて,より質の高い生活を送ることのできるよう支援するためには欠かせないものである。利用者....

介護労働の変容と財政課題79の生活状況を把握し,利用者の有する能力や身体・精神状態の変化に応じてADL を維持・向上させて,より質の高い生活を送ることのできるよう支援するためには欠かせないものである。利用者の生活環境や習慣に対する配慮や柔軟な対応を求められ,そのために現場で問題やトラブルも生じやすい。さらに,2003年改定から認知症の見守りなどのサービスが「生活支援」に位置づけられたが,認知症の症状や心理状態を理解し対応するためには専門的な知識や経験は欠かせない。また第3章でみたように,食事介助や入浴介助などの「身体介護」は,その前後に膨大な準備や後片付けが必要であり,こうした「生活支援」に支えられて初めて成り立つサービスである。「身体介護」と「家事援助」のサービスを併用する場合に,どこまでが「身体介護に含まれる一連の行為」であり,どこからが「家事援助」であるか,区別することは困難であり,また,区別することで利用者や訪問介護員,報酬を算定する事業者に混乱をもたらしていることは否めない。かつての「複合型」よりも高い水準の報酬で一本化する方向をめざし,今後さらに検討を重ねるべきである。(2)報酬引き上げと加算のあり方介護従事者の処遇改善を一大目標において行われた2009年改定であるが,その実効性を危ぶむ声が大きかった。この改定の検証を行うために,2009年10月に厚生労働省が介護保険施設・事業所とそこで雇用される介護従事者を対象に調査(母集団91,067,調査対象7,381)を行った25。まず,施設・事業所における同年4~9月の間の介護従事者の給与等の引き上げについては,複数回答で,「定期昇給実施」が 42.7%,「介護報酬改定を踏まえて引き上げた」が 23.8%,「介護報酬改定に関わらず引き上げた」が 20.5%であった。また,訪問介護事業所で見ると,複数回答で,「定期昇給実施」が 31.2%,「介護報酬改定を踏まえて引き上げた」が 30.9%,「介護報酬改定に関わらず引き上げた」が 18.7%であった。一方,営利法人では給与等の引き上げを実施していないところが 39.6%で25 厚生労働省「平成21年度介護従事者処遇状況等調査」参照。