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80 高知論叢 第100号あり,他の経営主体よりその割合が高かった。また,介護従事者の平均給与は 229,930円であり,前年と比較して平均 8,930円増加していた。しかし,施設・事業所別に見ると大きな差がある。介護老....

80 高知論叢 第100号あり,他の経営主体よりその割合が高かった。また,介護従事者の平均給与は 229,930円であり,前年と比較して平均 8,930円増加していた。しかし,施設・事業所別に見ると大きな差がある。介護老人福祉施設で 281,880円,介護老人保健施設で 295,230円であるのに対し,訪問介護事業所は 134,910円に過ぎない。特に訪問介護事業所では非常勤やパートタイマーが多いことがこの背景にある。さらに,職種別に平均給与を見ると,生活相談員・支援相談員は296,700円,介護支援専門員は314,650円であるのに対し,介護職員(訪問介護員を含む)では197,960円に過ぎない。相談員やケアマネージャーに比べ,実際に介護を担う介護職の給与の低さが際立っている。一方,給与等以外の処遇全般については,「職員の増員による業務負担の軽減」で実際に改善が図られた施設・事業所が 17.3%であり,「夜勤職員配置加算」の創設などの効果が伺える。また今後の実施予定としては,「昇給または昇進・昇格要件の明確化」が 24.8%,「賃金体系等の人事制度の整備」が 23.2%,「能力や仕事ぶりの評価と配置・処遇への反映」が 21.6%であった。職員の教育・研修については,「資格取得や能力向上に向けた教育研修機会の充実や対象者の拡大」で実際に改善が図られた施設・事業所が 18.9%,「資格取得や外部の研修参加にかかる費用等の負担(一部を含む)」が 12.8%であり,「特定事業所加算」等の効果が伺える。本章で介護報酬の改定の経緯を見てきたが,報酬の引き上げや加算の導入が検討される際,必ず議論されるのは保険料や利用料への影響についてである。「保険」制度である以上「収支の相等」を図る必要があり,給付が増えれば,それを賄う財源を確保する必要はある。しかし,介護保険は「社会」保険であり,その財源として保険料や利用料だけでなく,公費負担が当然に求められている。サービスの質の向上や従事者の処遇改善は公的責任および社会的責任において行うべきであり,被保険者や利用者に負担させるべきものではない。特に「特定事業所加算」などでは,加算の対象となる事業所か否かにより,介護報酬が異なり,利用料も異なることになる。同じサービスを利用しながら,提供する事業所によりその利用料が異なることに正当性があるか疑問が残る。ま