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介護労働の変容と財政課題81た処遇改善のために介護報酬の引き上げられても,それを受けとる事業者が実際の給与改善に向ける保証はない。2009年10月から,介護職員の処遇改善に取り組む事業者を対象に,他の業種との....

介護労働の変容と財政課題81た処遇改善のために介護報酬の引き上げられても,それを受けとる事業者が実際の給与改善に向ける保証はない。2009年10月から,介護職員の処遇改善に取り組む事業者を対象に,他の業種との賃金格差を縮小し,介護における雇用の安定を図り,優秀な人材を確保することを目的に,常勤職員1人(常勤換算)当たり月額1.5万円に相当する額の交付金制度(「介護職員処遇改善交付金」)が創設された。しかしこれは,2011年度末までの時限措置であって,先に紹介した厚生労働省による検証調査の結果をみても,処遇改善効果は小さく,限定的であるといわざるを得ない。介護保険制度における公費負担割合は介護保険給付費(介護保険総費用から1割の利用者負担(利用料)を除いたもの)の50%であるが,サービスの量的整備と質的向上を図り,焦眉の課題である介護従事者の処遇改善に行うための財政措置を介護報酬の枠外,さらには介護保険制度の枠外で行う仕組みをさらに充実させ,継続的に実施していく必要がある。おわりに最後になったが,介護保険のあり方を大きく左右する「介護予防」について述べたい。2006年改定により導入された「介護予防」給付は「自立支援」を名目に,要支援者を従来の介護給付から排除し,別枠で対応するものであり,これにより,利用者のサービス利用が大幅に制限されることとなった。同時に,介護保険の対象外となった者(「自立」と認定された者)を対象とした市町村事業(「介護予防・地域支え合い事業」)も「介護予防」事業の対象に再編され,その財源に保険料が充てられることとなった。これに対し,要介護状態にあることが介護保険が対象とするリスクであり,リスクが発生する以前の要支援者や自立と認定された者の「介護予防」は保険給付になじまないという指摘もある。とはいえ,介護保険は「被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し,必要な保険給付を行うもの」(介護保険法第2条)であり,保険給付は「要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう行われる」(同法第2条2)とされており,介護予防のための施策や