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102 高知論叢 第101号らせているという積極面がある。また,どちらの集落においても住民どうしの交流は盛んであり,孤立している世帯はないということが言明された。人口減少と高齢化が著しい地域にあっても,住民が比較的健康で元気あると同時に,孤立住民を生み出さない関係づくりができていることは,地域福祉からみた地域づくりの本質的な方向性を示しているのではなかろうか。保健福祉部分においても,住民が話し合って内容を決めている「B(集落)サロン」や大腰筋体操に主体的に取り組まれている。生活課題としては,共同生活機能を果たすうえで,人口が限られたなかで役員や当番を担うことの負担,道管理が行政から集落に任されるようになったことの負担,買い物や移動の問題に直面している独居高齢者がいるという問題などがある。行政がおこなう「公助」と住民どうしの支えあいによる「共助」の守備範囲の再検討や,集落を超えた自治会の個別集落支援機能の強化,ボランティアグループや学生などの外部からの交流・支援の強化,公共交通の運行日や便数を含む移動支援のあり方の再検討,個々の集落を支援する行政担当職員や社協担当職員等の配置・強化などの可能性,そして,両集落とも拒否しているわけではないので集落再編・統合の可能性が探られなければならないだろう。地域づくりの方向としては,地域の良さを生かし,課題を解決する方向での住民自身による取り組みと行政支援の方向を住民が中心になって考えながら,そのビジョンとプランを行政や専門機関,ボランティア,NPOなどで推進してゆく関係づくりが基本的には重要になる。両集落では,神祭,柿づくり,きのこオーナー制度,木工体験教室,空き校舎の活用,集落外の人々との交流,民宿,みょうがやマイタケの栽培,朝市への出荷,集落を考える会の設立経験など,共助を中心とする様々な工夫,試行がおこなわれてきている。他方で,草刈りや道路管理,鳥獣被害など,共助だけでは解決困難な行政支援に関わる課題も浮き彫りになった。今後,地区計画や集落計画に取り組むなかで,自分たちの地域をもう一度,住民自身が見つめ直し,自分たちでしたいこと,できること,すべきことを話し合い,「村づくり委員会」や「元気がでる支援金」を活用,応募したりしながら実行に移してゆくとともに,行政や専門機関がおこなうべきことについて