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114 高知論叢 第101号共通して,小売業がマイナスで有意になっていることが分かる。この結果は,小売業では非正規従業員がより重要な役割を果たしており,正規従業員については早期選抜に基づいた優れたリーダーの....

114 高知論叢 第101号共通して,小売業がマイナスで有意になっていることが分かる。この結果は,小売業では非正規従業員がより重要な役割を果たしており,正規従業員については早期選抜に基づいた優れたリーダーの役割がより強く求められることを示唆している。また概ね,正規従業員数が多い企業ほど選抜時期は長くなる傾向にあり,その傾向は特に「よこばい群出現期」で著しい。ひとつの解釈として,正規従業員の数が多いほどトーナメント競争はより厳しくなることから,競争の公平さを確保するためにより長期に渡って評価を行う必要があるという点が挙げられよう。次節では,「第一選抜出現期」および「よこばい群出現期」が労働者の仕事経験に及ぼす効果を検証する。3-3 選抜期間が仕事経験に及ぼす効果推定結果は表3の通りである。まず被説明変数を「現在の会社で経験した職能の数」とした場合,2種類の選抜指標のうち「よこばい群出現期」のみが有意となっている。特に「よこばい群出現期」の係数がマイナスで有意となっており,また「現在の役職に就くまでの年数とのクロス項」については有意性こそ小さいもののプラスの傾向がみてとれる。この結果は,「よこばい群出現期」が長くなるほどホワイトカラー管理者全般が経験する職能の数は減少する一方で,遅く昇進した労働者ほど職能の数が抑制される度合いが小さいことを示唆している。「よこばい群出現期」の後に“真の”leader が選ばれ,“真の”leader とそれ以外の労働者との分業が進んでいくとすれば,「よこばい群出現期」が長くなるほど人々が経験する職能は少なくなる傾向にあるだろう。その一方で,Lazear and Rosen(1981)のモデルから解釈すれば,シード権つき競争が長いほど,第一選抜からもれた労働者のモチベーション維持するために彼らの仕事経験の幅を増やし,第一選抜者にハンディキャップを与える傾向が強いと読み取れる。この傾向は,特に製造業において強く働いていることが伺える。一方,被説明変数を「現在の会社で経験した最長職能における仕事経験」とした場合(表4),特に製造業において選抜が仕事経験に有意な影響を及ぼし