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122 高知論叢 第101号Ⅰ 高知県自動車部品関連会社の交流会さきに確認したように,高知県では自動車産業は大きな産業セクターにはなっていない。しかし,高知県では,自動車部品関連会社の交流会を組織しており,....

122 高知論叢 第101号Ⅰ 高知県自動車部品関連会社の交流会さきに確認したように,高知県では自動車産業は大きな産業セクターにはなっていない。しかし,高知県では,自動車部品関連会社の交流会を組織しており,これが自動車産業に対する産業振興の端緒となるかもしれない。そこで,まずこの交流会にフォーカスを当てて,設立の背景と目的について概観する。1 交流会設立の背景と目的高知県の製造業において,地場企業と誘致企業とのビジネスマッチングができていないことがしばしば問題点として挙げられる。せっかく工場を誘致したにもかかわらず,誘致企業からの発注はほとんど高知県内の企業になされず,土地と労働力を提供しているにすぎないと指摘される。もちろん,雇用が生まれるなど高知県にとって一定の効果はあるが,もう一段の効果を願っても良いだろう。それでは,なぜ地場企業に発注されないのだろうか。理由のひとつとして,地場企業に生産技術と開発技術が不足していたり,それを克服しようとする努力が足りなかったりするケースが多いといわれている。その結果,誘致企業が高知県に持ち込んだ技術は地場企業に伝播することなく,県内外の技術格差は縮まらない。もうひとつの理由は,発注したい仕事があるのに,そもそも高知県内にそれを請け負う企業がないということである。このような状況は,産業振興を図ろうとしている自動車関連部品産業でも同様であり,後述するいくつかの誘致企業でも,地場企業に対してほとんど発注していない。こうした問題意識を高知県商工労働部の企業立地課が持ち,「高知県自動車部品関連会社の本稿の執筆にあたり四銀キャピタルリサーチ編[2011]に筆者が執筆した「高知県自動車関連産業の概要」(第3 章)および「高知県における自動車関連産業の発展ストーリー」(第5 章)を大幅に改訂した。以下に示しているように,高知県における自動車部品関連企業の概要については,本稿で記述しているが,数量的な把握については四銀キャピタルリサーチ編[2011]に収録されている第1 章「自動車産業の概況」(担当執筆:田村安興)および補論「地域際収支からみた高知県の自動車関連産業」(担当執筆:福田善乙)を参照されたい。