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124 高知論叢 第101号自動車産業で生き残っていくためには,高い生産技術が求められるとともに,サプライチェーン・マネジメント(SCM)の面でも高い要求に応え続けなければならない。このような高い生産技術とSCM ....

124 高知論叢 第101号自動車産業で生き残っていくためには,高い生産技術が求められるとともに,サプライチェーン・マネジメント(SCM)の面でも高い要求に応え続けなければならない。このような高い生産技術とSCM 力を求められる自動車産業でビジネスを展開してきた誘致企業と地場企業が交流することで,生産技術やSCM 力を高知県内に浸透することを目指している3。そして,浸透プロセスの最終目的として,部品生産の途中で必要となる加工処理を高知県内で行える体制が構築されることも挙げられている。つまり,交流会を通じて,誘致企業はどんな加工分野が高知県内でできないと考えられているのかを把握し,その加工分野を担う企業を重点的に誘致することによって,高知県内で完結するバリューチェーンを構築しようとするものである。このような背景と目的をもった交流会に対し,高知県が期待している成果は次のようなものである。①交流の促進による交流会参加企業間での取引関係の拡大,②交流会参加各社の改善の促進(高知県中小企業団体中央会と企業立地課が連携した研修事業の活用など),③交流会発の新たな開発・事業展開,④アフターケア対策の強化の4 つである4。ここで注目すべきは,アフターケア対策の強化である。商工労働部企業立地課の職員は,大きくふたつの悩みを抱えていると言う。ひとつはものづくりの基礎知識が備わっていないことに起因する悩みである。誘致企業の安定したビジネス展開をサポートするために受注拡大やより効率的なバリューチェーンの構築を目指して,高知県内の企業を訪問して商品や技術の売り込み,外注先の確保を狙っても,商品知識が乏しかったり,生産現場での経験が皆無であるため品質保証体制を担保できなかったりして,サポートにも限界がある。もうひとつは,誘致企業のサポートに精一杯で地場企業の情報入手に手が回らない状況であり,売り込みも外注先の確保もままならないと言う悩みがある。交流会はこのふたつの悩みを解決することも目指している。企業立地課の職員は,交3 地場企業のなかでも生産技術力とSCM 力を高めてきた企業があり,その企業から交流会に参加する企業に伝播することも期待している。つまり,高知県内の製造業者(自動車関連産業に従事しない業者も含んでいる)の生産技術力およびSCM 力の向上を狙っている。4 県庁職員のアフターケア能力の向上を指している。