101号

101号 page 132/162

電子ブックを開く

このページは 101号 の電子ブックに掲載されている132ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
130 高知論叢 第101号数年の需要落ち込みによって,親会社からB 社の閉鎖も懸案事項に上ったが,コスト面,人材面を考慮して継続が決まった。B 社が認識している高知県で操業することの長所と短所にはどのようなも....

130 高知論叢 第101号数年の需要落ち込みによって,親会社からB 社の閉鎖も懸案事項に上ったが,コスト面,人材面を考慮して継続が決まった。B 社が認識している高知県で操業することの長所と短所にはどのようなものがあるのだろうか。長所として,人材確保の容易さを挙がった。B 社は高知県では名が売れていない企業だと自社を認識しているようだが,求人募集をかければ,応募者が集まり,これが最も大きなメリットだという。また,賃金面でも大都市圏に比べて抑制できるので,親会社よりも価格競争力を出せる可能性が広がる。しかし,同じ人材面でも短所となっていることもある。鋳物の技術者の人材プールが高知県内に全くないようである。特に,アルミの鋳物を扱う企業が四国に皆無であるので,I ターンやU ターンで採用するほか無いとのことであった。人材面を離れて,B 社でも問題として物流費が挙がった。高知県から大阪府までの運賃が相当かかり,高値水準で推移する燃料費を含めれば,さらにコスト高になっている。なお,A 社では物流リードタイムの問題も挙げられていたが,台風などの特殊気候の時以外は,大きな問題になっていないようであり,夕方に荷物を出せば,翌朝には大阪に着いているとのことであった。3 誘致企業C 社1989年に高知工場,翌年に梼原製造所,さらに,1991年に中芸工場が操業を開始し,自動車用組電線の製造を行っている。本社工場は徳島県である。C 社が所属するグループ企業は日本各地にC 社と同様の子会社をもち,世界各国においても製造拠点を設立しており,グローバルなワイヤーハーネスメーカーである。C 社は世界中の完成車メーカーに納入しているといっても過言ではなく,約30%の世界シェアを持っていると言われている。高知県への進出理由は,自動車市場が成長期で部材需要が拡大していたが,都市部では採用したくても徐々に人が集まらなくなってきたため,人材を確保できるところを探していた折に,瀬戸大橋の完成によって物流面の改善ができた四国が候補になり,高知県でも操業することになったと言う。C 社が製造する自動車用組電線は非常に労働集約的な製造工程であり,多様な自動車関連部