101号

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高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状131品企業の中でも人材確保が重要な課題であったようである。2010年9 月現在,徳島本社拠点では218名,高知工場が95名,中芸工場は110名,梼原製造所には40名の従業員....

高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状131品企業の中でも人材確保が重要な課題であったようである。2010年9 月現在,徳島本社拠点では218名,高知工場が95名,中芸工場は110名,梼原製造所には40名の従業員がいるが,この数字にはワイヤーハーネスの製造以外に介護事業に従事している従業員の数が含まれている。介護事業を展開している主な理由は,完成車メーカーからのコストダウン要請への対応として,グループとしてワイヤーハーネス生産を海外シフトさせる一方で,雇用を確保しようとしているためである。C 社では6 割以上が女性従業員であり,転勤を受け入れることが難しい彼女たちを当該地域で雇用し続けるために介護事業を展開し,その事業に従事してもらうためにヘルパーの資格取得を支援している。なお,グループの生産戦略として,現在64%を占める海外生産を,今後2 年間で80%にしようとしており,国内製造拠点が更なるコスト削減を進めなければならない状況にあるとのことであった。それでは,上記2 社と同じように高知県に立地するメリットとデメリットを整理したい。上述しているとおり,人材の確保が容易な点は大きなメリットであったようである。しかし,A 社,B 社と同様に物流面のデメリットを抱えていると言う。愛知県向けに11トン車で陸送したとき,高知県からの輸送費を100とすると,徳島県からでは72,岡山県からだと55と物流面で大きなコスト差が生じてくる。しかし,納入する完成車メーカーは発注単価に運送費を見込んでくれることは無く,製造拠点間でコスト差が生じる。C 社のグループでは,C 社の上位に位置する親会社側のコントロール組織が,どの拠点で,どの完成車メーカー向けの,どんな車種向けのワイヤーハーネスを生産するか決定しているため,拠点間の競争がある。そのため,C 社の高知拠点にとって,物流コストの拠点間の差額は重くのしかかることになる。ところで,物流リードタイムに関して,C 社では大きな問題にはなっていないと言う。高知拠点には,距離,天災(台風,雪)のリスクがあるが,生産面と物流面のどちらにも目配りした納期管理によって,リスクを回避する仕組みづくりができるとのことである。また,逆に言えば,そうした仕組みづくりをしていないと,人材確保が容易な地域で生産することにメリットが出ないとのことであった。