101号

101号 page 136/162

電子ブックを開く

このページは 101号 の電子ブックに掲載されている136ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
134 高知論叢 第101号く,嵩張らないものである。したがって,高知県に立地することによって物流面でデメリットが生じることもないとのことである。6 誘致企業F 社2007年に宿毛工場を新設し,水回り部品を同じ工....

134 高知論叢 第101号く,嵩張らないものである。したがって,高知県に立地することによって物流面でデメリットが生じることもないとのことである。6 誘致企業F 社2007年に宿毛工場を新設し,水回り部品を同じ工業団地内にある取引先の生産拠点に納入するようになった。F 社では精密プラスチック成形加工によって,水回り部品(ガス・給湯器・水栓関連)と自動車関連部品を生産しているが,それらの売上高はそれぞれ40%程度を占めている10。F社は本社を愛知県に置いており,その本社工場以外に愛知県と三重県,そして宿毛市に国内の製造拠点があり,海外では上海に製造拠点を持っている。F 社が高知県に進出した理由は,同じ工業団地内に立地する水回り部品を生産する企業から需要拡大に伴って進出の誘いがあったためである。かつては,本社工場から高知工場に運び入れ,そこからその取引先の本社工場に戻すというモノの動かし方をやっていたが,納入している部品が使われる生産品目の需要が伸びてきたため,進出を促されたと言う。そういった事情もあって,現在のところ,宿毛工場では,自動車関連部品を生産していない。本社工場では自動車関連部品を製造するためのプラスチック金型も製作している。それでは,F 社は高知県で操業する際,どんなメリットを得ているのだろうか。まず,第1 に,人材確保の容易さがあるという。宿毛工場の操業を準備していた2007年当時,本社を置く愛知県での有効求人倍率が2 倍であったのに対し,宿毛市では0.5倍であった。そのため,採用人数15名のところに100名もの応募があった。愛知県で募集をかけた場合,1 ヶ月募集しても応募者が来ないということもあったのに比べると格段の差がある。そして,そうした人材が工場運営を真面目に行うこともメリットである。本社から各拠点を見たときに,宿毛工場が一番綺麗にオペレーションをしていると言う声があり,ものづくりに向いているとの評価もある。また,そうした人材に対して,採用支援を目的とした助成金が出ており,人材面でのメリットは大きい。そして,県庁と中小10 F 社の会社案内を参照。なお,2009年度の取引先業種をベースにしている。