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高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状135企業との距離が近いと言うことである。県庁の職員が気軽に相談にのってくれたり,様々な支援策を提案してくれたり,県庁の対応が厚遇であるので,他県と比べるとい....

高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状135企業との距離が近いと言うことである。県庁の職員が気軽に相談にのってくれたり,様々な支援策を提案してくれたり,県庁の対応が厚遇であるので,他県と比べるといろんなところでメリットが発生している。一方で,デメリットは,これまでの企業が挙げたとおり,物流費用と物流にかかる日数を指摘している。以上は誘致企業が認識する高知県に立地するメリットとデメリットであった。立地している地域や製造しているモノによって,企業間で異同が存在しているが,注目すべきポイントは,人材の質と量,工場用地の入手のしやすさ,物流費と物流リードタイムであることが分かった。以下では,高知県に本社を置く地場企業にも目を向けてみよう。7 地場企業G 社G 社は高知県内で自動車関連部品事業を発展させることに成功したモデルケースのひとつである。猟銃事業で長年培ってきた独自の木工技術をベースに自動車用シフトレバーやレバーコンビネーションスイッチ,さらにはステアリングハンドルの開発に着手し,順次,納入を開始させていきた。G 社が正式に設立されるのは1999年のことで,納入先である1 次部品サプライヤーとの共同出資で自動車部品事業を本格的に開始している。G 社が自動車関連部品を生産するに当たって直面した壁は,納期を守ると言うことであった。納入先である1次部品サプライヤーに迷惑をかけないこと,さらには,完成車メーカーの生産ラインに迷惑をかけないことを考えれば,納期遵守は必須事項である11。そこで,G 社は品質を維持しながら納期を守るために,設立から数年は損とか得とか考えずに人手をかけて人海戦術でやっていた。その結果,赤字が続いたと言う。そこで,G 社が独自に生産方式を習得するのは難しいと考え,納入先である1次部品サプライヤーに協力を仰ぎ,毎月10名程度の生産技術や生産管理の担当者が高知に訪れ,彼らの教えに従い,徹11 後述するが,自動車産業に限らず需要変動に適用しようとする完成品企業へ納入する企業においては,需要変動へのフレキシブルな対応が要求される。しかし,その前段階として,確実に必要数量を作り,それを納期どおりに納品しなければならない。つまり,フレキシブル生産システムには重層性がある(詳しくは中道[2004]を参照。)