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136 高知論叢 第101号底的に改善を繰り返した結果,黒字を計上できるような状況になったとのことであった。それでは,G 社が認識する高知県で操業する長所や短所とはどのようなものだろうか。G 社は誘致企業と同じ....

136 高知論叢 第101号底的に改善を繰り返した結果,黒字を計上できるような状況になったとのことであった。それでは,G 社が認識する高知県で操業する長所や短所とはどのようなものだろうか。G 社は誘致企業と同じく地理的条件として物流の問題を挙げている。G 社が生産する部品は完成車メーカーが九州で生産している車種に搭載されているものであるので,本当は九州へ直接運びたいと考えているが,輸送費と物流リードタイムがネックになり,現状としては叶っていない。そして,上述したとおり,Q(品質),C(コスト),D(納期)を担保できる工場でないと自動車関連部品メーカーとしては継続できないと指摘し,このことが高知県の地場企業にとって,操業開始時(もしくは,取引開始時)に重荷になると言えるようである。とりわけ,D(納期)を遵守するためには,高い管理技術を習得しなければならず,高いハードルになる。また,G 社ではQCD を担保するための習慣作りを納入先企業に協力を仰いだが,実はそうやって招いた人たちに「高知でやるのはしんどいねえ」と言われたという。言葉遣いなどを含めて,指導している人たちのほうが疎外感に似た感覚を覚えることがあり,こうしたことも高知県で操業するうえでの短所になっているかもしれない。8 地場企業H 社1967年に創業し,農機向けの金型製作を行っていたが,先代社長は今後農機がこれ以上発展すると考えなかったために,自動車産業にも進出することを決め,自動車関連連部品企業に足を運んで一点からコツコツと受注を採っていった。金型業界やプレス業界は「あの企業は腕がいいぞ」と言う評判がたつと,情報がまわり,発注が舞い込むことがあるという。H 社は300トン以内のプレス機で生産される手のひらサイズの小物部品向けの金型を製造しており,1次部品サプライヤーと2次部品サプライヤー向けに90%くらいを生産している。納入先は,山陽地方や福岡県が中心である。H 社が認識する高知県で操業する上でのデメリットは,10トン車をチャーターした場合,福岡県まで物流費が10万円ほどかかることを挙げている。納入先からは,大きな品物や重要な品物は近場でやりたいと言われており,こうし