101号

101号 page 141/162

電子ブックを開く

このページは 101号 の電子ブックに掲載されている141ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状1391 物流面での問題前節で紹介した多くの企業が挙げていた阻害要因は,物流面の問題であり,大きく三つの問題に分けることができる。ひとつは物流コストが上昇する....

高知県自動車部品関連会社の交流会の狙いと現状1391 物流面での問題前節で紹介した多くの企業が挙げていた阻害要因は,物流面の問題であり,大きく三つの問題に分けることができる。ひとつは物流コストが上昇する問題であり,納入先が納入価格に物流コストを盛り込んでくれればよいが,そんなことはほとんど考えられないので,経営を圧迫する要因になる。加えて,単に納品するための物流コストが高くなるだけではなく,原材料の調達コストも高くなる。これらの部材の調達と製品の輸送にかかる余分な物流コストを補うだけのコスト競争力を何らかの手段(例えば,労務費の低さだけに頼らない生産性の向上)によって高知県で実現すれば,この問題はクリアできる。二つ目に納品先までの物流リードタイムが長いという問題であり,さらに,多くの企業が原材料や部品を県外から調達しているため調達リードタイムも長くなり,手持ちの材料在庫も多くなる傾向になる。自動車産業において,物流リードタイムが長いと納入部品にもよるが需要変動への対応力が弱まってしまうため,受注できる品目を自ら制約することになり,激しい需要変動が予測できる部品について,完成車メーカーや部品メーカーから受注できる可能性を低下させてしまう。また,重要部品はリスク低減と手直しのしやすさを完成車メーカーや部品サプライヤーが重視するため,彼らの工場の近くで生産することを求められる。高知県を含む四国各県に完成車メーカーや部品サプライヤーの基幹的な生産拠点がないことから重要部品の受注も難しくなりそうである。加えて,納入先はメッキ処理や焼入れ処理などの工程を指定した業者で行うことをしばしば求める。高知県には完成品メーカーや大手部品サプライヤーが指定するような企業が進出していないため,そうした処理をするために余計な時間を費やすことになり,納期管理を一層難しくする12。三つ目は,本州と陸続きでない高知県は荒天により輸送が断たれるリスクが他の地方に比べて高い。かつての災害や工場火災であったように,たったひとつの部品がなくても自動車生産は止まってしまう。完成車メーカーや部品サプ12 納入先が業者を指定しなくても,高知県内で多くの選択肢が用意されているわけではないため,処理や加工の内容によっては瀬戸内海沿岸地域や京阪神に一旦送らなければならないケースも多いようである。