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144 高知論叢 第101号ながら,共同で新たな部品受注が可能になるかもしれない13。Ⅳ 高知県における自動車関連産業の発展可能性ここまでみてきたような状況を踏まえて,本節では,高知県において自動車関連産業に....

144 高知論叢 第101号ながら,共同で新たな部品受注が可能になるかもしれない13。Ⅳ 高知県における自動車関連産業の発展可能性ここまでみてきたような状況を踏まえて,本節では,高知県において自動車関連産業に対する産業振興のストーリーを試みに描いてみるが,ストーリーの内容に入る前に,自動車関連産業で事業を伸ばしていく際に必須要件を確認することからはじめたい。1.自動車関連産業において必須要件とは?他の産業でも同様のことが言えるが,決められた期日に,決められた量を納入することが自動車産業では強く求められる。しかし一方で,納期を守るために在庫を持って対応することは,完成車の需要変動に応じられないため認められない。そのような納期対応を行っている部品サプライヤーは,部品の廃棄ロスが膨大になり,収益的に大きな問題を抱えることになるだろう。したがって,部品サプライヤーは非常に限られた在庫(完成品および仕掛品)で納期に対応しなければならない。そのためのファーストステップとして,安定的な操業体制と物流体制を構築しなければならない。安定的な操業のキーポイントは,毎日,毎日,良品のみを作り続けることである。平均的な納入量に見合った設備と人員を用意している場合,不良品を作らなければ,受注した量を操業時間内に作ることができ,納期に対応できるはずである。しかし,不良品を作ってしまうと,それを生産した時間が無駄になるだけでなく,不良がどこで発生したのか,それが再び起こらないようにするためにはどのようにすればよいかなど,対策を立てるために操業時間を浪費してしまう。また,不良品に費やしたコストを良品で賄わなければならず,収益13 なお,その場合,協力会社関係のように緊密な結びつき出ないため,リスク分担を事前に十分議論する必要はあるだろう。以上,バリューチェーンの再構築をてこにした発展ストーリーに関しては,四銀キャピタルリサーチ編[2011]の第4章「高知県自動車関連産業の発展ストーリー」(担当執筆:中道)に詳しく記述しているので参照いただきたい。