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146 高知論叢 第101号② U ターン希望者の掘り起こしとその採用もうひとつの方法として,生産管理を指揮できる人材をU ターンで中途採用することも考えられる。自動車関連の部品サプライヤーではないが,高知県内の....

146 高知論叢 第101号② U ターン希望者の掘り起こしとその採用もうひとつの方法として,生産管理を指揮できる人材をU ターンで中途採用することも考えられる。自動車関連の部品サプライヤーではないが,高知県内の誘致企業のなかには,トヨタ自動車系部品サプライヤーや大手電機メーカー(この企業は2000年以降,生産革新を推し進めた)で十数年働いていた人に対し,生産管理のマネージャークラスのポストを用意して採用している企業がある。高校や大学を卒業した後,現場改善能力が高いとされる企業に就職し,働き続けているひとは,それなりの数がいるのではないだろうか。そして,彼らのなかには働く場所さえあれば,地元の高知県にU ターンしたいと考えている人がいるだろう。しかし,生産管理のマネージャーを担える人材がどこ,どれだけいるのか把握することは,一企業ではなかなかできない。採用を考える企業は人材バンクを利用することができるが,それ以外にも,行政機関がUターンの枠組みづくりの際に,人材把握の仕組みも組み込み,そこで把握した人材を県内企業に紹介することも考えなければならないだろう。こうした採用の流れができれば,安定的な操業体制構築につながる太い経路になり得る。③公的機関による専門家派遣しかし,現実の問題として,生産管理のマネージャーを採用する余力がない企業はある。学び取る姿勢はあるが,そうした人材を招いたり,採用したりする財源がない企業は,行政の外郭団体(例えば,高知県産業振興センターなど)に指導者の派遣を依頼することで,安定的な操業体制を構築する一歩を踏み出すことができるのではないだろうか。現在,同センターの支援事業として例に挙げられているのは,新商品の研究開発,製造技術の高度化,商品の改良・改善であり,生産管理の要素は強くない。高知県の企業のウィークポイントは,安定操業であることを考えれば,この点を底上げするような専門的な指導者(例えば,U ターンによる雇用でも良いし,県内企業のなかで優れた生産管理を実行している企業の定年退職者の雇用でも良い)を多数配置し,そうしたメニューを打ち出さなければならないだろう。そして,派遣要請がある企業の製造現場へ頻繁に出入りさせ,派遣先で管理者になれるような人材を育成するまで面倒