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150 高知論叢 第101号である。こうした姿勢は評価すべきであるし,どの企業も見習うべきではないだろうか16。こうした取り組みの結果,ミロクテクノウッドは顧客に出会うことができ,廣瀬製紙も顧客と出会うのは時....

150 高知論叢 第101号である。こうした姿勢は評価すべきであるし,どの企業も見習うべきではないだろうか16。こうした取り組みの結果,ミロクテクノウッドは顧客に出会うことができ,廣瀬製紙も顧客と出会うのは時間の問題と思える状況になった。つぎの課題は,顧客の要求する水準までコストを下げることである。これは安定的な供給体制の構築とオーバーラップするところであり,生産管理技術によって左右されるところは大きい。その一方で,製造技術を更新することによって大幅なコストダウンが実現できる可能性もある。この点について,ミロクテクノウッドも廣瀬製紙も積極的に取り組んでいる。例えば,廣瀬製紙はナノファイバー技術を活かした複合不織布を展開しており,この製造において新たな製法を開発している。そして,それを量産品としてブラッシュアップする段階で産業技術総合研究所と合同で開発に乗り出している。この一連の行動は,廣瀬製紙は産業技術総合研究所に在籍する優秀な研究者と共同で研究開発することにより,一気に量産技術へ飛躍させていこうと考えているようにみえる。つまり,内部にない知識やノウハウを認識し,それを補ってくれるパートナーを見つけ(廣瀬製紙の場合は彼らの技術を見出されたといった方が正しい),お互いに足りないものを補完しながら研究開発を進めることでブラッシュアップしているのである。このように,社内にないものは学ぼうとする姿勢は,謙虚で真摯ともいえるし,貪欲とも言えるが,どの企業も見習うべき姿勢ではないだろうか。(3)更なるバックアップ協力会社ネットワークであれば,どんな技術を持ち,それを用いてどんな製品をどれくらいの価格で作れそうか,互いに理解している。しかし,取引がな16 なぜ継続的にカタチにし続けることが可能だったのだろうか。筆者の推測の域を出ないが,巧く助成制度を活用してきたように思える。両社のこれまでの活動を確認しようと,新聞や雑誌の記事を過去に遡ってみたところ,多くの助成制度を利用して,研究開発していることに気付いた。いますぐには事業として花を咲かすことはないが,いつか活用できる技術としてストックするために,深掘りしておくべきテーマを両社は明確にし続け,社内の研究開発費で取り組むのはもちろんのこと,新たなチャレンジを促すような助成制度が創設されたときには,それに応募してきたのではないだろうかと考えた。もし,こうした推測があたっているならば,転用可能なスタンスではないだろうか。