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54 高知論叢 第101号の本社の東京への集中立地現象について考える上で,本社が担う「対外的に企業を代表する機能」(第4 表参照)の存在に注目したこと32が,樋口は本社のスリム化の方法の考察に当たり絶対的本社機....

54 高知論叢 第101号の本社の東京への集中立地現象について考える上で,本社が担う「対外的に企業を代表する機能」(第4 表参照)の存在に注目したこと32が,樋口は本社のスリム化の方法の考察に当たり絶対的本社機能の一つとしての「法人格機能」(第8 表参照)を重視したことが,Mintzberg(1979)はトップ・マネジメントに関するHolden et al. (1968)における議論を参考にしたことが,この分類基準の採用につながったとみられる。Chandler (1991)33,Young,Goold et al. (2000),Goold and Campbell(2002a),小沼・河野(2005),加護野・上野・吉村(2006),Goold and Campbell(2002b)はみな,Goold andCampbell(1987)に始まるペアレンティング理論の影響を受けている。ペアレンティング理論は本社の存在意義に関する疑問を出発点としており,また親子関係の比喩を使いながら本社を含むペアレントの諸機能(子の保護者としての親の機能など)を検討・説明していることが,対外的代表機能の重要性の認識,ひいてはこの分類基準の採用につながったとみられる。また近年,企業関係者や投資家,マスコミ,学者その他によって,コーポレート・ガバナンスが注目されていることも,対外的全社代表機能が本社の重要な諸機能のうちの一つとして特に取り上げられるようになったことに影響を与えている可能性がある。⑥「当該機能実行の主な対象(2)(対象は自社内部)」は,これまでに紹介してきたほぼ全ての諸文献・本社(またはスタッフ)機能分類諸事例で分類基準として用いられている(不採用は3件:基本的なスタッフ機能分類(2);小野豊明, 1957 ; 樋口, 1995)が,これは,本社の諸機能の一つとしてサービス機能を挙げる本社機能分類諸事例が多いこと,サービス機能表示の際にサービス提供対象を付記することが多い(例:共通サービス機能,事業支援サービス機能など)ことが少なからず影響していること,そして,サービス提供業務については,集中処理・分散処理や内製・分社化・外注化の問題がつきまとうことなどから,④当該機能実行の主な手段(助言かサービスか)や⑦当該機能の絶対性・相対性(1)(内製(集中・分散)),⑧当該機能の絶対性・相対性(2)(内製・分社化・外注化)などと,関連が深いとみられる。