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66 高知論叢 第101号83年間,生まれてからずっとここに住んでいる(2年間ほど大阪に出ていたこともあるが)。奥さんも旧仁淀村の出身である。ずっと農業をしていたが,昭和50年代くらいから土木もしていた。奥さん....

66 高知論叢 第101号83年間,生まれてからずっとここに住んでいる(2年間ほど大阪に出ていたこともあるが)。奥さんも旧仁淀村の出身である。ずっと農業をしていたが,昭和50年代くらいから土木もしていた。奥さんの火の始末が心配になっている。魚を焼失したことがあるが,奥さんは軽度の認知症のため,そのことを覚えていない(自動消火装置も,原則として独居世帯が対象となっている)。新聞は郵便で来る。郵便局員は,たまに話をしていってくれる。介護サービスの利用は,Bさん夫のみ,送迎付きのデイサービスに通っている。もう慣れたので,さびしいと思うことはない。この集落も多い時は10世帯30人以上いた(昭和34~35年頃)。相談事は子どもにするが,保健師さんも頼りにしている。行政に求めることは,災害への対応である。バスの運行ルートについて,上まで来てほしい(とくに帰り)。当初は上がって来たが,中断するようになった。社会福祉協議会に対しては,今のところ特にないが,いざとなったらヘルパーに来てもらいたい。昔は神祭もやっていたことがあり,楽しかった。合併については,知り合いができるようになったのでよかった。昔は,みつまた,こうぞを作っていた(製紙)が,今は年金暮らしで貯えもできず,どうにかやっている。以上のように,仁淀川町では,一人世帯集落が徐々に増え始めている。この世帯も,民生委員や保健師など,訪れる人や頻度が限られている。夫は体調や脚が悪く,妻は軽度の認知症であるが,緊急通報装置や自動消火装置は設置されていない。弟が同居しているものの,独居世帯のみに限定すべきかどうか,生活実態に応じた柔軟な対応が検討されてよいだろう。後述(Ⅵ)の通り,コミュニティバスが住民の移動支援に貢献している面があるものの,バス停まで異動することが困難な人の問題が残されている(バス停間の道では途中停車してもらえるが,この集落のように,大きく外れて上がってきてもらうことはできなくなっている)。