101号

101号 page 75/162

電子ブックを開く

このページは 101号 の電子ブックに掲載されている75ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
限界集落における孤立高齢者への生活支援(中) 73とになる。しかし,本稿執筆時点で公開されている決算データは2006~2008年度の3年分だけであり,新町としての新しい傾向を見るには十分ではない。本稿では,一定....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(中) 73とになる。しかし,本稿執筆時点で公開されている決算データは2006~2008年度の3年分だけであり,新町としての新しい傾向を見るには十分ではない。本稿では,一定分析の限界に留意しつつも,現時点で見てとれる財政的な変化について分析を試みることにしたい。まず歳入・歳出総額の変化から見ていく。三町村合計額と合併後の推移を見ると,1996年度をピークに,右肩下がりで減少していく。これは,1990年代に入ってから発行した地方債の償還費用が増加してきたことにともない,三町村ともに投資的経費と地方債発行の抑制に努めるようになったためであると思われる。それに加えて,2000年代以降は地方交付税の減少にともなう歳入総額の減少が生じて,決算額全体の水準が減少傾向をしめすことになった。続いて歳入面からの変化を見ていく。仁淀川町の歳入面の特徴は,地方交付税に依存する割合が非常に高く(2000年代では歳入総額の45% 前後),地方税など自主財源があまり多くないことである(地方税は同期間で歳入総額の5~7%)。また,県からの補助金が多いことも特徴であろう。補助金は主に農林水産費の項目で,投資的経費に回されていたことが伺える。しかし,2000年に48.4億円あった地方交付税からの歳入額が,2004年には37.5億円へと,約11億円減少することになった。投資的経費の抑制傾向と合わせて,県からの補助金収入も同じように減少していくことになる。町村合併による歳入面での傾向は,仁淀川町総務課でのヒアリング調査によると,地方交付税の増額効果が非常に大きく,普通交付税で年間5億円の増加が10年間見込めるとのことである。しかし,仁淀川町における地方交付税の経年的変化を見ると,合併前の3町村合計額からみて減少傾向が続いている(2008年度では37.0億円であり,2004年度の三町村合計額からみると0.5億円の減)。町村合併による地方交付税の増額効果は,地方交付税の大幅な減少傾向を食い止め,財政的な余裕度をある程度もたせたることになったということであろう。歳出面の変化から見ると,合併前は農林水産費が3町村ともに中心的な歳出項目であり,主に投資的経費として支出されていた。しかし,公債費が1990年代後半以降大きく増加する中で,投資的経費に関する支出は大きく抑制せざるをえない状況になっている。公債費負担の重さは徐々に緩和されてきている