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82 高知論叢 第101号住民の住み慣れた地域に暮らし続けたいという思いもあり,集落再編は難しいものの,高齢者用住宅を整備することにより,自分の地域に暮らし続けることが難しい状態になった時のための受け皿的な条件が作られている。本格的な水道設置は予算的に難しいとしても,簡易水道,簡易給水施設,家庭給水施設などの形で,県の補助と町の補助で支援がおこなわれている。ただし,住民の高齢化により,水の管理が難しくなってきている問題が残されており,管理支援に向けた体制構築が求められよう。防災マップや自主防災組織に向けた取組み姿勢も積極的ではあるが,安全な避難場所の確保も検討されなければならない。買い物の問題については,現在のところ,町内外の業者による「移動スーパー」が対応しているが,その継続性が難しくなった時を見据えた検討も開始されている。配食サービスの実施曜日の拡充や買い物代行サービスの提供など,実現可能な代替策から試行してみてもよいだろう。健康づくりや福祉面では,旧町村間に意識や取り組みの違いはあるということから,住民の意識に寄り添いつつ,地域性や個別性を考慮に入れた対応が今後とも必要になるだろう。高齢者世帯や精神障害者を対象とした見守り活動もおこなわれており,適切な対応につながった例もあるが,隣近所が離れている場合は安否確認が難しく,耳が遠い人の場合は電話もかけにくいとか,緊急通報装置の協力者が高齢化している,という問題も生まれている。今後,地域の一人ひとりに対してどのような見守り体制が必要であり,可能なのか,という検討が,小地域ネットワーク会議の開催等を通じて,各地域単位で地域福祉関係者や住民協力者,行政,専門機関等が話し合って,対応方法を検討してゆく必要があるだろう。介護保険サービスの利用についても,旧町村間で,利用意向のタイプが分かれていることから,それぞれのニーズに合わせたサービス基盤整備をそれぞれの地区単位で図ってゆくことが有効であろう。対象を特定する介護予防事業(二次予防事業)は,住民の被選別意識が働くせいか,どの市町村,地域でも参加率が低いので,仁淀川町でも取り組まれているように,一般高齢者をも対象とする形で地域にオープンなスタイルの方向を追求する方が,要支援等となるおそれの高い高齢者の参加を結果的に確保することにもなるであろう。