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84 高知論叢 第101号効用をもたらしており,地域の豊かな資源を活用した積極的な高齢者の生活支援としてのモデルを示している。ただし,地域の食材を生かした多様な商品加工や,農家の生産物の出荷を通じて,地域の....

84 高知論叢 第101号効用をもたらしており,地域の豊かな資源を活用した積極的な高齢者の生活支援としてのモデルを示している。ただし,地域の食材を生かした多様な商品加工や,農家の生産物の出荷を通じて,地域の活性化に貢献しているにもかかわらず,経費との関係上,経営は不安定化している。とりわけ,行政からの委託料が廃止された影響は大きく,同センターが果たしている公共的な役割を再評価した行政支援が求められる。同時に,高齢者だけでなく,障害者も視野に入れて利用者の拡大を図るなど,その公共性を高めたり,高知市内の直販店を拡充して利益確保を図るなどの経営努力も必要であろう。住民の参加を得ながら,地域の課題解決や地域活性化という使命をもった事業活動は「コミュニティ・ビジネス」と言われるが,まさにその典型と言えよう。もう一つのユニークで積極的な取り組みとして注目されているのが,「コミュニティバス」である。バス停まで行くのもたいへんという高齢者もいるなかで,個々のニーズに合わせて柔軟な乗車ができるような運営がおこなわれている。自家用車が運転できなくなってきた世帯・地域への支援という重要な役割も果たしている。料金も安く設定されているうえ,要介護高齢者や障害者は半額となっている。高齢者の移動問題に対する行政支援として工夫されている。運転手のきめ細やかな気遣いも評価されている。ただし,地区ごとの各路線が曜日によって運行日が設定されている関係上,各集落の住民にとっては週1回の利用となっており,利用回数や利用曜日の改善を求める声も出ている。たとえば,とくに月曜利用者に偏った不利益を解消するために,別の曜日の設定や,特定の地域に特定の運行曜日を固定するのではなく,曜日設定を循環させるなどの工夫の余地はあるのではないだろうか。予算の問題もあるが,たとえば運行曜日を週2回にする可能性がないか等を行政内部でも検討したり,地域の関係者や行政,住民が合同で地域の移動問題を考える会を開くなどして,より良い移動支援の方向を探ることが期待される。その際,Ⅱでみたように,特定の地点まで上がってきてもらえないため,移動困難に直面している住民への配慮もあわせて求められる。社会福祉協議会の地域福祉におけるコミュニティバス以外の取り組みとして