101号

101号 page 88/162

電子ブックを開く

このページは 101号 の電子ブックに掲載されている88ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
86 高知論叢 第101号阿智村は,長野県南部の下伊那郡の西南にあり,西は岐阜県や木曽郡に,東は地域の中心都市の飯田市に接し,名古屋圏域にも比較的近い。2006年1月に浪合村と,2009年3月には清内路村と合併した....

86 高知論叢 第101号阿智村は,長野県南部の下伊那郡の西南にあり,西は岐阜県や木曽郡に,東は地域の中心都市の飯田市に接し,名古屋圏域にも比較的近い。2006年1月に浪合村と,2009年3月には清内路村と合併した。村内には,1973(昭和48)年に湧出した南信最大の昼神温泉郷がある。総人口は7,066人で,男性3,409人,女性3,657人,戸数2,332世帯,高齢化率29.9%の村であり,標高410mから2191mまでの山間地に,9地区・自治会,60集落が点在している[6]。Ⅱ 行政支援の特徴阿智村の村づくり・地方自治の基盤には,社会教育・公民館活動の考え方や手法とその実践の蓄積がある。阿智村の岡庭一雄村長によると,農山村の最大の課題は,「村全体が豊かで住みやすくなるにはどうしたらいいか」ということであり,それも総論としての政策ではなく,「個々の集落に人が住み続け,そこの山と農地を守っていくにはどうしたらいいか」という視点をもって,村の計画・政策を立案しなければならなくなってきていることであるという。人頼みや行政頼みの「何とかなる」という意識そのものを180度変えて,本当に住民自身が自分の意思で決めていくのが本来の自治の姿であり,自分の人生設計と行政・地域・集落のあり方を一体的に考えるシステムを作らない限り,集落を維持できないところまできていると考えているのである[7]。阿智村の地域づくりや高齢者生活支援に関する具体的な施策や事業を7つぐらいとりあげて,その内容を簡単に整理・紹介していこう。1.協働活動推進課の設置先の村長の考え方などを反映して,阿智村では,地域づくりや集落支援の担当課として「協働活動推進課」を設置している[8]。具体的な業務としては,「全村博物館構想」,ビジターセンターや定住促進センターの運営,自治会・NPO・ボランティア関係の業務,村づくり委員会事業,集落計画の取り組み,公営住宅貸付・管理,熊谷元一写真コンクール,結婚支援活動,阿智の夏まつり,交流事業(村人会),公民館との連携,CATV・撮影,広報,村ホームページなどである。