高知論叢102号

高知論叢102号 page 106/222

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104 高知論叢 第102号家族の状況としては,ひとり暮らしであり,子どもはいない。兄弟が一人,物部町内にいるので,正月,盆暮れに会う。呼んだら来てくれる。民生委員は来ないし,そもそもいま誰がやっているのか....

104 高知論叢 第102号家族の状況としては,ひとり暮らしであり,子どもはいない。兄弟が一人,物部町内にいるので,正月,盆暮れに会う。呼んだら来てくれる。民生委員は来ないし,そもそもいま誰がやっているのかはっきりしない。社協からは広報が来る。新聞はとらない。役場からは,2月までは毎月来ていたが(保健師と地区担当が一緒に来る),3月から来てくれなくなった。もうひとつの世帯のBさんとの関係は,親戚ではない。交流はよくある。一緒に買い物に行ったりする。直接顔を合わせるのは週に一回くらい。電話はする。楽しみにしていることは特にないが,テレビを見ること(地デジ対応済み)くらいである。情報源は社協の広報とテレビ,新聞などである。生活に困っていることは,移動の問題である。車がないと移動が難しい。住居や草刈り等については今のところ何とかなっている。健康については,月1回通院しているが,病院は市内の別の町に行けば間に合っている。畑仕事は楽しいということではない。ふだんはよいが,台風の時は多少不安があり,寂しくなる。この土地には,先祖から300年くらい,自分も生まれてからずっといる。元気なうちは居続けたいが,長くはいられないかもしれない。頼りになるのは兄弟であり,親戚になるとやや疎遠になる。昔,一緒に仕事をしていた時の友人(二人)が一番大事である。そのうちの一人とは電話連絡しているし,もう一人は会いに来てくれる。集落の活動としては,神祭は二人でおこなう。神社の掃除と果物のお供えであり,正月,6月,9月の年3回おこなう。他の集落と一緒になることはない。近くの集落としては2集落(そのうちの1つは一人集落)があるが,安芸市内の地区の方が近いような状況なので,距離的にも遠い。この地域で暮らし続けるために行政に期待することとしては,移動の問題が大きい。もともと車に乗っておらず,免許もない(県外に林業で出稼ぎしていた関係などで,これまで特に必要性がなかった)。合併の影響は特に感じない(われわれにとっては同じ)。集落の今後については,どうしようもない,二人がいなくなったら終わりだろう。この地区にいて,寂しいという感覚はあまりない。