高知論叢102号

高知論叢102号 page 113/222

電子ブックを開く

このページは 高知論叢102号 の電子ブックに掲載されている113ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
限界集落における孤立高齢者への生活支援(下) 111絵画を描くには,環境としては悪くない。Fさんはイメージを描き,Gさんは風景を描く。近所付き合いは,距離的に離れているので難しい。奥のほうに田畑がある山師....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(下) 111絵画を描くには,環境としては悪くない。Fさんはイメージを描き,Gさんは風景を描く。近所付き合いは,距離的に離れているので難しい。奥のほうに田畑がある山師の人が仕事で毎日来て,あいさつしてくれる。県外の友人が来たりもする。県内の他市町村にも絵画関係の友人がいる。寂しいということはないが,冠婚葬祭など個人的な情報がなかなか入ってこない。町の広報は郵便で来る。1軒しかないので,集落の区長になっている。過疎を放っておかず,人口分布をもう少しバランスよくしてほしい。Iターンしてくれるとうれしいし,町も潤う。Iターンで来た以上は帰れない。県外で震災経験があるので,住む場所は三つくらいある方がよいのではないかという思いがある。親族は,県外に多く残っていて,何かあれば交流はある。困っていることは,体力の限界があるかどうか。まだはっきり分からないが,体力が持てば,ここで暮らし続けたい。創作活動の環境,販路については特別困らない。土地の広さがあるし,灯油窯を作ったので焼き物もできる。道路の整備については不満がある。便利にはなったが,もともと自然のままがよいと思っていたので。困った時に頼る人は,山師さん,別の集落にいる友人,民生委員である。生活の楽しみは,絵を描くことである。地域の今後としては,ホスピスなどをつくったりして,都会から政策的に人を呼び寄せるようにして欲しい。それによって給食サービス,交通,一人ぐらしが集まるシステムづくりなどができていくだろう。合併前後の変化はかなりある。職員が旧中土佐町の方へ移ったことで飲食店等の利用が低下した。活気あるものが遠くへ行くことにより,絵画の仕事にも影響が出てくる。地域の人とのつながりが希薄になり,保健師も来なくなる。(3) E集落聞き取り対象:H さん(70代男性,3世帯集落の1世帯)E集落は現在3世帯8人が住んでいる。Hさんが来た45~46年前は,12世帯あった。Hさんは,父の仕事の関係で引っ越してきたが,夫婦2人で生活している。子どもは利便性が悪いという理由で転出し町外に住んでいる。県内だか