高知論叢102号

高知論叢102号 page 118/222

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116 高知論叢 第102号できる限り,生まれ育った今の地域に住み続けたいと考えているが,介護や入院治療が必要になれば,子どもへの気遣いもあり,施設や病院を次善的な選択肢として視野に入れている。地震,落石,....

116 高知論叢 第102号できる限り,生まれ育った今の地域に住み続けたいと考えているが,介護や入院治療が必要になれば,子どもへの気遣いもあり,施設や病院を次善的な選択肢として視野に入れている。地震,落石,台風などの災害への不安を表明する人もいる。市町村合併による影響を感じていない人がいる反面,役場との関係が不便になったり,取り残されたり,役場との距離が遠くなったと感じている人もいる。集落自体の存続には悲観的な見通しや不安をもちながら,集落間の再編は難しく,共同事業などで協力できる部分は協力してゆこうと考えられている。また,防犯パトロールや声かけ,神祭,葬祭など,住民どうしで支え合えるところは支えあっていこうとする姿勢や,他地域から若い世代などの移住を受け入れようとする姿勢も見られる。第5章 高知県内における地区単位を中心とする高齢者の生活支   援の方向Ⅰ 中土佐町大野見北地区振興会の取り組み(1) 大野見北地区振興会について限界集落における高齢者の生活支援の方向を考えるうえで,中土佐町大野見地区において住民主体の地域づくりに取り組んでいる大野見北地区振興会に聞き取り調査をおこおこなった(2011年2月15日)。以下に,その結果を示す。2006年1月に中土佐町と大野見村が合併,行政の中心が中土佐に移ったことで,行政サービス低下の心配が出てきた。行政からも心配の声が出ていた。とりあえず,自分たちで何とかしないと,ということになった。2006年4月から,行政主導で住民の話し合いを始め,徐々に住民主体の活動に変わっていった。世話人会をつくり,2007年4月に住民自治組織を立ち上げた。北地区の住民は全員加入しているが,活動が地域全体の総意ということにはなかなかならない。合併協議会の中で,新町で6つの自治組織をつくるという協定内容があった。しかし,まだ北地区しかできていない。県下にもないだろう。他の地区も,必