高知論叢102号

高知論叢102号 page 133/222

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限界集落における孤立高齢者への生活支援(下) 131移動支援システムの構築など,行政支援の課題も浮かび上がっている。北川村では,無医村で,2人集落が2つ生まれるなど,限界・消滅集落化が進む状況も見られるな....

限界集落における孤立高齢者への生活支援(下) 131移動支援システムの構築など,行政支援の課題も浮かび上がっている。北川村では,無医村で,2人集落が2つ生まれるなど,限界・消滅集落化が進む状況も見られるなかで,民生委員のパートナーとしての福祉協力員による「みまわりさん」活動,社協職員と民生委員による「出前相談」,配食サービスを通じた見守り,地元新聞社や農協による配達時の見守りなど,多様な見守り主体が高齢者の孤立化を防ぐためのネットワークを形成している。さらに,あったかふれあいセンターがサテライト型やミニデイ型を含め,村内各地を網羅する形で高齢者の居場所を形成している。そこでの活動内容は参加者の意見を中心にして決めてゆき,過保護にならぬよう自立支援という観点が貫かれている。センターの運営のあり方についても住民中心に協議してゆくというスタイルが確立しているのは県内で独自の特徴をもっている。訪問による個々人に対する「点」としての見守りにくわえて,高齢者が村内各地域で集まるサークルのような「円」としての相互見守り(来なかった人や近隣で心配な人が話題にのぼり,保健師や社協の訪問につなげる)が重なり合いながら,高齢者の孤立化を防ぐ仕組みができあがっている。ただし,ここでも,ドア・ツー・ドアの移動支援システムの構築や,保健師による個別,具体的な対応など,行政支援の課題も浮かび上がっている。土佐町相川地区では,生活保護世帯もなく,相川米,相川みそ,土佐赤牛,もみじ卵など様々な地域特産品を生かした地域活性化が図られている。産業面だけではなく,15歳間隔程度の世代別集まり(若あゆ会,こまどりの会,はっぱ会,ふれんど,南天会,やる気会)があることが,気兼ねなく横つながりの交流,親睦,結束を図れるソフトな地域組織を形成している。さらに,各集落の全戸参加の部落会議や,集落間でイベントや地区の事業計画を協力して進めてゆくための4部落長会議,そしてテーマ別委員会が機能することにより,消防団の強い結束,地区マップづくりなどのユニークなアイデアの実現,新規公共事業の受け入れ,若者を巻き込んだ納涼祭の実施などにくわえて,水源地の管理,用地交渉や防災パトロール,採種組合などが安定した形で実現している。今後は,空き校舎を活用したコミュニティセンターの実現と,それを拠点に