高知論叢102号

高知論叢102号 page 134/222

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132 高知論叢 第102号した地区特産品の販売促進を通じた一層の地域活性化に期待がかかっている。若い世代の流入がほとんどない反面,流出も少なく,子どもが増えつつあることも今後につながる明るい材料と言える。....

132 高知論叢 第102号した地区特産品の販売促進を通じた一層の地域活性化に期待がかかっている。若い世代の流入がほとんどない反面,流出も少なく,子どもが増えつつあることも今後につながる明るい材料と言える。おわりにいわゆる限界集落では,さらに少人数世帯集落が漸増し,地域の孤立化が進むなかで,高齢者は鳥獣被害や移動問題,水や道路の維持管理問題などの生活問題に直面しながらも,たとえ子ども世代が戻り住むことがなくても,元気な限りは生まれ育った地域で暮らし続けたいと願っている。民生委員,保健師,社会福祉協議会職員といった地域のキーパーソンすら,ほとんど姿を見せない地域もある。合併により,行政との距離を感じている高齢者もいる。そのような状況の下でも,住民どうしで支え合えるところは支えあっていこうとする姿勢や,集落間の再編は難しくても共同事業などで協力しあったり,他地域からの移住を受け入れようとする姿勢も見られる。今後の方向としては,中土佐町,北川村,土佐町における町村内の地域単位の取り組みに見られるように,地域内の住民どうしのつながりや結束を強め,地域組織化を図ってゆくことが,地域の内にも外にも,そして行政に対しても,地域力の存在をアピールすることになる。住民どうしのつながりの強さが,地域の中で暮らす喜びや自信につながり,地域外の人々や行政に対しても,連携と協力を惹き込む吸引力になりうる。次稿では,これまでの論稿をふまえ,行政学,財政学,地域社会学,地域福祉学のそれぞれの立場から,限界集落で地域的に孤立した高齢者の生活支援システムのあり方を考察し,総合的な支援モデルの方向を提示したい。