高知論叢102号

高知論叢102号 page 140/222

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138 高知論叢 第102号昇傾向を示すと予想されるが,逆の傾向となっている。この理由として,進出国での現地調達が困難に直面している,あるいはまた,周辺地域に調達の多様化が展開されているといった可能性が考えられる。(イ)「中東欧(進出国を除く)」の回答率は,年度によって大きく変化しているが,2005年度までの長期的傾向としては,全体的に低水準にとどまり,また横ばいの傾向を示している。このことは,上述の調達の進出国周辺地域への多様化が展開されているという可能性が低いことを示している。(ウ)2006年度以降の「中東欧(進出国を含む)」の回答率は,調査期間が短いので分析が難しいが,上昇傾向を示しているように思われる。ただし,その水準は,「西欧」「日本」よりも低く,また2000年代初頭の「進出国内」と同レベルであり,必ずしも高いとは言えない。これは,上述のように,「進出国」および「中東欧(進出国を除く)」における現地調達がそれほど進展していないことを反映していると思われる。第3 に「西欧」「日本」は,いずれも主要な調達先であるが,回答率は全体として低下傾向を示している(ただし,より詳細に見ると,前者は2005年度に大きく低下しそれ以降はやや上昇傾向,後者は2002年度以降に緩やかな低下,というやや異なる変化を示している)。これは,中欧進出企業が,現在でも西欧や日本からの調達に大きく頼らざるを得ないが,コスト引き下げや納期短縮のために,日本や西欧からの調達を減少させようとしていることを反映していると思われる。そして,このような「日本」「西欧」の回答率の低下は,上述のように「進出国・中東欧」における調達が必ずしも進展していないとしても,相対的に見るなら「進出国・中東欧」の調達先としての重要性が増している可能性があることを示している。第4 に「中国」「ASEAN」は,それぞれ2 割程度の回答率を示しており,水準としては必ずしも高くはないが,中欧進出企業にとって必要不可欠な調達先となっていることが分かる。次に,在中欧日本企業の調達先の「主要2産業の状況」について見てみよう。表5 および表6 は,1998~2009年度の調達先調査の「電気機械・電子機器,電気・電子部品」および「輸送用機器,輸送用機器部品」の結果を示したものである。この集計結果から,在中欧日本企業の2 つの主要産業の調達先には,