高知論叢102号

高知論叢102号 page 144/222

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142 高知論叢 第102号の3 項目については,いずれも2002年度辺りのピークから回答率が次第に低下する傾向を示している。これは,在中欧日本企業が現地調達の質的向上に向けて行ったさまざまな取り組みの結果だと思われる。ただし,上記3 項目の変化の状況は異なっており,「品質」の低下率が最も大きく,次いで「納期」,他方「コスト」の低下率はそれほど大きくない。これは,在中欧日本企業が「コスト」の引き下げ(あるいはむしろ賃金上昇などによるコスト上昇をいかに押さえるか)に苦労していることを反映していると考えられる。第3 に,上述のように,調達に関する経営上の問題である「品質」「コスト」「納期」の3 項目は,程度の差はあるが回答率が低下する傾向を示しており,これらのデータに限れば問題は解決の方向にあるように思われる。ただし,2009年度調査から「現地調達先の不足」という新たな回答項目が設定され,この項目に関してかなり高い回答率が示されている。しかも,この回答項目は,そもそも現地調達のための企業が不足しているという根本的な問題(「品質」「コスト」「納期」について論ずる以前の問題)であり,この回答率が高いことは,在中欧日本企業の調達に関して大きな問題が残されていることを示唆している。次に,在中欧日本企業の調達に関する経営上の問題点の「主要2 産業の状況」について見てみよう。表9 および表10は,1999~2008年度の調達に関する経営上の問題点の「電気機械・電子機器,電気・電子部品」および「輸送用機器,輸送用機器部品」の結果を示したものである。この集計結果から,在中欧日本企業の2 つの主要産業の調達に関する問題は,全般的な傾向は似ているが,やや異なる特徴もあることを読み取ることができる。第1 に,原材料・部品調達に関して何らかの問題があると回答している企業が非常に多いという点は, 2 つの産業に共通している。第2 に,「品質」「コスト」「納期」の3 項目については,産業ごとに異なる特徴が見られる。まず「品質」に関しては,「電気機械・電子機器,電気・電子部品」では低下傾向を示しているが,「輸送用機器,輸送用機器部品」では2006年度まで高い水準にとどまっている(ただし,データの得られる最終年度である2008年度に極めて低い回答率が示されており,これをどう分析するかと