高知論叢102号

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154 高知論叢 第102号(1)現地調達の状況① 現地調達率聞き取り調査により,調達比率に関して具体的な数値で回答を得ることができた企業は非常に限定的であった。回答を得られた企業の数が少ないので,全体的状況を反映しているとは必ずしも言えないが,とりあえず調達率の状況を検討するための材料としてみよう。「現地(進出国)調達率平均値」は,全業種で28.6%(回答を得られた企業は9 社)。業種では,「電機」で34.4%(同5 社)と高く,「自動車部品」で21.4%(同4 社)と低くなっている(15)。「EU 域内(進出国を含む)調達率の平均値」も同様の傾向を示し,全業種で43.2%(回答を得られた企業は11社),「電機」で55.3%(同6 社)と高く,「自動車部品」で28.6%(同5 社)と低くなっている(16)。この結果を先行研究の結果と比較してみよう。まず,ジェトロの2010年度調査(調査対象は全業種企業)の中の平均調達率のデータ(表7 )と比較すると,筆者調査の「現地(進出国)調達率」28.6% は,ジェトロ調査の「中東欧調達率」21.1% よりもやや高い水準となっている。筆者調査の対象が中欧での活動経験が長い傾向がある電気機械企業であることを考慮すると,この結果は妥当だと思われる。一方,筆者調査の「EU 域内(進出国を含む)調達率」43.2% は,ジェトロ調査の「中東欧調達率+西欧調達率」46.9%よりもやや低い水準となっている。中欧の日本電気機械企業が,西欧からの調達を縮小しアジアからのグローバル調達を増やしていること(表5 )を考慮すると,この結果も納得がいくものだと思われる(17)。次に,JMNESG の適用度評価のデータ(表12)と比較してみよう。JMNESGの調査は現地調達率を直接的には算出していないが,「ローカル・コンテンツ」「調達先」の適用度の高さにより現地調達の水準を予想することができる。筆者調査では,「現地(進出国)調達率」「EU 域内(進出国を含む)調達率」とも,「電機」の方が「自動車用電気部品」よりも高い傾向があった。これは,JMNESG 調査における,「電機」の適用度が相対的に低く,「自動車」の適用度が相対的に高いという結果と整合的である(18)。