高知論叢102号

高知論叢102号 page 159/222

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中欧における日本電気機械企業の現地調達157③ 現地サプライヤーの経営の考え方に関する問題第3 に,現地サプライヤーの経営の考え方に問題がある,あるいは現地サプライヤーの考え方が日本企業と異なるという指摘....

中欧における日本電気機械企業の現地調達157③ 現地サプライヤーの経営の考え方に関する問題第3 に,現地サプライヤーの経営の考え方に問題がある,あるいは現地サプライヤーの考え方が日本企業と異なるという指摘がなされている。上記の品質に対する考え方の違いもその一つだが,社会的・経営的環境が日本とは異なる中欧では,当然ながら日本とは異なる価値観・経営観が存在する。JMNESG調査において,調達方法に関する適用度が低かったことにも示されているように,中欧地域で日本的な考え方に基づいて現地サプライヤーと取引を行うことは非常に困難があるというのが現状である。具体的には,次のような回答が聞かれた。「現地サプライヤーの経営の問題点」を指摘するものとして,「現地サプライヤーは,多少の不良品があっても良いと思っている(在チェコ空調機器部品企業)」「問題としてビジネスマナーがあげられる。突然の値上げ要求,しかも3 カ月前に遡って要求してくる。また大口注文が入るとこちらの納入を後回しにする(在ハンガリー映像機器部品企業)」また「現地サプライヤーの考え方が日本企業と異なること」を指摘するものとして「チェコ企業は利益をしっかりとるのでコスト引き下げ交渉が大変。日系企業とはコスト引き下げの交渉が容易にできるが,現地企業とは理屈で説明してようやく値下げ交渉が可能となる(在チェコ空調機器企業)」「日本なら下請けは改良提案を自主的にするのが当然だが,ここではできていない(在ハンガリー電池企業)」(3)現地調達を推進するための取り組み上述のように,中欧における現地調達は,比較的低い水準にとどまっており,またその具体的な内容に関しても様々な問題が生じている。では,日本電気機械企業は,このような問題にどのように対処しようとしているのだろうか。次に,現地調達を推進するための取り組みについて,日本的方式を現地適応しつつ中欧地域に導入することによって調達取引を改善しようとする試みについて検討しよう。具体的には,「長期継続取引」「JIT」「技術