高知論叢102号

高知論叢102号 page 160/222

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158 高知論叢 第102号指導」の3 つの取り組みについて見ていく。① 長期継続取引長期継続取引に関しては, 5 社の企業が取り組んでいると回答していた。聞き取り調査によると,現地サプライヤーが不足していること....

158 高知論叢 第102号指導」の3 つの取り組みについて見ていく。① 長期継続取引長期継続取引に関しては, 5 社の企業が取り組んでいると回答していた。聞き取り調査によると,現地サプライヤーが不足していることもあり,長期継続取引を望んでいる日本企業は少なくはない。しかし,現地企業の側は,長期継続取引に対して必ずしも積極的でない場合も多いようである。日本企業にとって,長期継続取引の目的は,単に取引を長期間継続するということでなく,その期間に企業間で互恵的な関係を築くことであるが,中欧ではそのような関係に至っている企業は見当たらなかった。具体的には,次のような回答が聞かれた。「長期取引は行っている。取引先は大きな変更はない。それほど悪い企業ではないので。カスタム部品は付き合いが長い会社から調達している(在スロバキア映像機器企業)」「取引先を育てたいので,長期継続取引をしている。しかし相手が系列に頼らないという対等関係を重視する考え方をもっているので難しい(在チェコ空調機器企業)」「サプライヤーとの共存共栄を考え, 5 年くらいを考えて取引をしている(在ハンガリー電池企業)」「長期継続取引を基本に考えているが,相手が必ずしもついてこない(在ハンガリー自動車電気部品)」② JITJIT に関しては,取り組んでいると回答した企業は1 社のみであった。ただし,この企業も,変形的な形式でのJIT を行うにとどまっていた。聞き取り調査では,現在は行っていないが実施してみたいという企業もあったが,困難性を指摘する企業が多かった。具体的には,次のような回答が聞かれた。「JIT を一部のサプライヤーとしている。サプライヤーに部材を当社の倉庫に入れてもらい好きな時に使う。当社が場所を提供し,在庫コストはサプライヤーがもつようになってる(在ハンガリー電池企業)」