高知論叢102号

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160 高知論叢 第102号「調達先企業に指導に行っているが変わらない。経営者の考えが日系とは異なるので受け止めてもらえない(在チェコ情報機器部品・映像機器部品企業)」4.西欧における日本電気機械企業の現地....

160 高知論叢 第102号「調達先企業に指導に行っているが変わらない。経営者の考えが日系とは異なるので受け止めてもらえない(在チェコ情報機器部品・映像機器部品企業)」4.西欧における日本電気機械企業の現地調達との比較本節では,在西欧日本電気機械企業の調達活動に関する調査結果と比較することにより,在中欧日本電気機械企業の現地調達の特徴について再検討し,そして今後の展望に関する考察を行う。(1)在西欧日本電気機械企業の現地調達の問題点筆者は,2003年~2004年に,在西欧日本電気機械企業33社を対象に,調達活動に関する聞き取り調査を行っている(19)。表15は,この聞き取り調査における現地調達に関する問題についての回答の一部を示したものである。この資料に記されているように,在西欧企業においても,在中欧企業で考察されたものとほぼ同様の問題点,すなわち「現地サプ 表15 在西欧日本電気機械企業の現地調達の問題の事例(出所)大石(2004)p. 18 「現地調達品には,納期の遅れがしばしばある。品質のバラツキもある。サンプルテストではOKでも,実際の生産ではバラツキの問題が生ずることがある。また,サプライヤーは顧客に対してロイヤリティが無く,急に納入を止めると言ってきたりする場合もある」(在イギリス自動車用電気部品企業) 「当社の要求に応えられないサプライヤーも多くある。日系大手民生用電気機械企業に納入実績がある現地部品企業と取引を行ったことがあるが,民生用電気機械の規準で勝手に判断した部品を納入してきた。当社の規準に合った部品を契約通りに納入するように求めると,価格引き上げを要求してきた」(在イギリス電気計測機器企業) 「現地のサプライヤーは「売ってやる」という意識をもっている。彼らは,品質・納期・価格を守ることを当然のこととは考えていない。品質では,不良品があっても「代えてやる」という対応であり,不良品を無くすために今後どうするかという話にならない。納期も「守れなくなった」と平気で言ってくる。価格も「物価上昇に合わせて賃金が上がるので,これに応じて価格を上げてくれ」と要求してくる。日本のサプライヤーのように努力することも無く,当然のように価格引き上げを要求してくる」(在スペイン自動車用電気部品企業)