高知論叢102号

高知論叢102号 page 163/222

電子ブックを開く

このページは 高知論叢102号 の電子ブックに掲載されている163ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
中欧における日本電気機械企業の現地調達161ライヤーの不在」「現地サプライヤーの技術の低さ」「現地サプライヤーの経営の考え方」に関する問題点が指摘されている。ただし,問題の程度の違いはあり,「現地サプラ....

中欧における日本電気機械企業の現地調達161ライヤーの不在」「現地サプライヤーの技術の低さ」「現地サプライヤーの経営の考え方」に関する問題点が指摘されている。ただし,問題の程度の違いはあり,「現地サプライヤーの不在」「現地サプライヤーの技術の低さ」に関しては,在西欧企業と比較して,在中欧企業が指摘する問題の方がより大きいものだと思われる。西欧の電気機械産業は,その歴史の長さや市場の大きさから,中欧よりもはるかに成熟しており,現地サプライヤー企業の数も多く,技術水準も高いからである。ただし,近年では,世界の電気機械産業の展開がアジア中心となっており,西欧の電気機械産業そのものが,完成品生産および部品生産をアジアにシフトさせている。そのことが西欧での部品調達を難しくさせることになっているという問題も生じている。それに対して,中欧の電機機械産業は,西欧と比較すると規模の面でも技術的な面でも遅れており,さらにその段階でアジア部品の流入が現地サプライヤーの成長を阻害するという問題も生じている。「現地サプライヤーの経営の考え方」に関しては,在西欧企業と在中欧企業の問題は,同様に困難なものだと思われる。ただし,その原因と状況は異なり,西欧では,とくに大陸欧州で,歴史的に独自の経営システムが確立しており,それが日本的な経営システムと激しい対立を見せる場合が多い。一方,中欧では,旧社会主義計画経済体制から市場経済への移行期にあって旧制度が根強く残存しており,しかし同時にEU 加盟の影響も受け西欧化が急速に進みつつある。そこでは,日本的経営システムが,旧体制的システムおよび西欧的システムと対立しているが,その一方で中欧独自のシステムが未だ確立していないため新たなシステムとして受け入れられる可能性もある(20)。(2)在西欧日本電気機械企業の現地調達を推進するための取り組み上述のように,在西欧日本電気機械企業の現地調達にも大きな問題があった。多くの日本企業は,それらの問題を解決するために,さまざま取り組みを行ってきた。表16は,これらの現地調達を推進するための取り組み,とくに現地サプライヤーに対する支援や指導に関する回答の一部を示したものである。この資料に