高知論叢102号

高知論叢102号 page 171/222

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中欧における日本電気機械企業の現地調達169先」の適用度が非常に高いことが注目される。また「調達方法」の適用度はやや低い。JMNESG の分析では,全体としてハンガリー国内のサプライヤーは中小規模で品質と納期に....

中欧における日本電気機械企業の現地調達169先」の適用度が非常に高いことが注目される。また「調達方法」の適用度はやや低い。JMNESG の分析では,全体としてハンガリー国内のサプライヤーは中小規模で品質と納期に問題があり,また周辺地域や西欧のサプライヤーについても品質と納期に問題がある,けれどもサプライヤーの定期的な指導等はできておらず,不良の際に飛んでいくというのが一般的な状況であると述べている。しかし,西欧に納入するには高い品質が求められ,その結果として,日本的ノウハウが込められた日本からの調達部品に依存することになっていると指摘している(苑(2006)pp. 215-217,p. 220,p. 346)。(2)チェコは「ローカル・コンテンツ」「調達先」の適用度が低く,「調達方法」の適用度が高い。JMNESG の分析では,現地調達が進んでいることについて,歴史的に形成されてきたチェコの工業基盤を評価する記述と,ドイツからの部品調達などの効果を指摘してチェコの工業基盤によるものではないという記述があり,必ずしも明確ではない。一方,現地サプライヤーとの関係については,明確に,チェコ企業の受容能力が高く,制度的な障害も存在しないため,日本的システムが極めて浸透しやすいと指摘している(苑(2006)p. 192,p. 198,pp. 345-346)。(3)ポーランドは「ローカル・コンテンツ」「調達先」の適用度が低く,「調達方法」の適用度も低い。JMNESG の分析では,現地調達の進展に関しては,実態としてはポーランドにおける調達は少なくEU 全体等からの調達が多いとし,また欧州地域本社が全ての調達を担当するケースが多いとしている。したがって,調達は,日本からではないがポーランド現地からではなく,また日本的方式によるものではないがポーランド現地方式によるものでもない,という形で行われていると指摘している(苑(2006)p. 171,p. 179,p. 345)。(14) 本稿では,2008年のリーマンショックによる影響を受ける前の状況について考察を行っている。リーマンショック以降,中欧の経済環境や日本企業の生産体制は大きく変化するが,この問題の考察は別稿の課題とする。(15) なお国別では,チェコで35.4%(回答を得られた企業は5 社)と高く,ハンガリーで20.1%(同4 社)と低くなっている。(16) なお国別では,チェコで47.4%(回答を得られた企業は5 社)と高く,ハンガリーで37.6%(同5 社)と低くなっている。(17) 「国別状況」に関しては,筆者調査で,「現地(進出国)調達率」「EU 域内(進出国を含む)調達率」のいずれにおいても,チェコの調達率が高く,ハンガリー 表G  在中欧日本企業の適用度評価結果〔国別〕中東欧4カ国ポーランドチェコスロバキアハンガリーⅢ部品調達2.6 2.4 2.4 2.1 2.9〔11〕ローカル・コンテンツ2.2 2.1 2.0 1.7 2.6〔12〕調達先2.8 2.5 2.4 2.3 3.4〔13〕調達方法2.7 2.6 2.9 2.3 2.6(出所)苑(2006)p. 154,p. 173,p. 191,p. 214より作成