高知論叢102号

高知論叢102号 page 182/222

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180 高知論叢 第102号済論,財政学・金融論,統計学,社会政策,経営学,会計学,民法・労働法,商法・経済法。それに対応する教員のポスト数は,教授11, 助教授11,助手3であった。経済学科の教員構成は,専門に....

180 高知論叢 第102号済論,財政学・金融論,統計学,社会政策,経営学,会計学,民法・労働法,商法・経済法。それに対応する教員のポスト数は,教授11, 助教授11,助手3であった。経済学科の教員構成は,専門に加えて一般教育担当教員のポストとして法学2,政治学1,社会学1が置かれた。経済学科の学生定員は110名であった。これが人文学部経済学科の発足時の陣容であった。その後の学科の充実発展の方向性は,地方国立大学の人文学部(複合学部,人文学科と経済学科,文学科と政経学科など)と同様に,複合学部からディシプリンの細分化に即した形での学部設置をめざすこととなった。本学では1986年度の本学長期計画の中で「経済学部設置」が承認され,経済学部設置調査委員会が設置された。学科は,人文学部教授会の承認をえて,大学設置審査会の基準,内規に達するように経済学部審査に適合するように教員ポストを要求する概算要求を出すことになった。しかし,1996年にこの計画は断念した。その結末は,後述する。学科のカリキュラムの充実を検討する場合には,入学者の学習意欲等も当然に考慮に入れなければならない。1979(昭和54)年度に「共通一次試験」の受験科目は,5教科7科目(理科,社会2科目選択)とし,個別学力としては教科科目に代えて小論文の入試方法を導入した。志願倍率は5倍強であり,入学者の県内出身者は18%と低かった。当初のねらいは,共通一次試験で基礎学力を測り,その上で個別学力のねらいとしては個性ある学生―具体的には社会を理解し,自分の判断,意見を書き表すことができることーの選抜を求めた。しかし,数年を経て入試での小論文は,個性ある学生という望みとは裏腹に,入試選抜制度という中では合格の予測の確実性を求めることから解答は画一化,平準化することが顕著になった。さらに,共通一次試験で思うように点数が獲得できなかった受験生が一発逆転ねらいをする場合,数学や英語などの特定科目を不得手とする受験生の例が増加してきたのではないか,との意見も出された。他方,まだ,この時期では統計学と外国書講読は必修科目であったが,統計学に必要な数学的知識が不足し単位が取れない人数は限られていたし,外国書講読での専門書の指定も困難という状況は限定的であった。自主ゼミもいくつもあり,教員の参加がなくても,専門書,古典を読もうとグループが育っていたというのが学科の学生の状況であった。