高知論叢102号

高知論叢102号 page 194/222

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192 高知論叢 第102号な点数評価が可能と受け取られて合格解答の予測が立てやすいと思われたようで,入試の倍率,受験雑誌偏差値を上方に導いたと言える。受験生への負担を軽減するとは言え,入学生の中で数学,英....

192 高知論叢 第102号な点数評価が可能と受け取られて合格解答の予測が立てやすいと思われたようで,入試の倍率,受験雑誌偏差値を上方に導いたと言える。受験生への負担を軽減するとは言え,入学生の中で数学,英語の学力不足の学生が目につくようになったことは否めない。1993年度から推薦入学Ⅰについて商業科10名,普通科20名の計30名の入学者とした。(1997年度から専門推薦と一般推薦という名称に変えた。)しばしばいわれる学力の低下については,確証のあるデータをもって検証できてないが,商業推薦の入学者は,総じて勉学意欲が強く,経営学ないし会計学関連のゼミを志望する学生も多く,活発に授業活動に参加しているとの意見は多かった。この4大学科目・コース制は,導入後2,3年を経過すると,学生の履修状況で大きな偏りが生じた。具体的には,2回生から専門科目が履修可能となるが,各コースの選択必修科目の授業科目において学生の集中したコースのそれらには,100名以上の授業クラスがあり,一方では必修科目の講義科目でも演習科目なみの10名前後の受講生のものも出てきた。こうした履修生の偏在は,講義科目では負担の不公平感が時折声として聞くくらいであったが,学科の教育の集約点とされる卒論・演習という結節場面においてゼミの受講生数の偏在が許容できないところまで進んだ。具体的には,学生は2回生時にコース選択をすることになり,そのコースに所属する教員のゼミを選択することになるという仕組みであった。希望ゼミに入れない学生が出てきた。問題の補正策として3回生時にコース変更の申請を可能としたが,基本的にはコースによる選択学生数の偏在は直らなかった。経済分析コースは10名前後までに低下した。これは学生の理論離れなどが指摘された。また,文部省,大学審など政府の大学充実の方向性と「人材需要予測」で喧伝,嚮導された政策立案能力や国際化などは,学生のキャリア選択や学習要求とはそれほどマッチしたものではなかった。少なくとも,高知大学の入学者には当てはまらなかったと言えよう。経営行政コースが80から90名も集まったこともある。しかし,これは学生が経営行政コースを積極的に選択したというのではなく,消去法での選択とも言えなくはないと思われる。経営行政コース志望者の学生の内,公務員志望が30人前後であり,会計簿記専攻が20名前後はいたように思われる。