高知論叢102号

高知論叢102号 page 26/222

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24 高知論叢 第102号このアプローチでは,例外規定としてコスト・ベースの方法(cost-basedmethod)を用いて測定することを認め,長期的には,金融商品会計基準の範囲に含まれるすべての金融商品を公正価値で測定す....

24 高知論叢 第102号このアプローチでは,例外規定としてコスト・ベースの方法(cost-basedmethod)を用いて測定することを認め,長期的には,金融商品会計基準の範囲に含まれるすべての金融商品を公正価値で測定する方向性を示している8。? ヘッジ会計の簡素化このアプローチでは,現行のヘッジ会計規定を削除する(または置き換える)ことと,現行のヘッジ会計規定を維持しながら,簡素化する方法が提案されている9。ASBJ は,この節における質問2 から7 に対するコメントの中で,金融商品を単一の方法で測定すること,売却可能金融投資の区分を削除すること,全面的な公正価値測定規定への方向性をとること,そしてヘッジ会計を全廃することに反対しており,テインティング規定を省くことで簡素化を行うことを提案している。また,日本公認会計協会は同じ質問に対するコメントの中で,満期保有目的や売却可能区分の削除について懸念を示し,ヘッジ会計の全廃については反対をしている。? 長期的な解決方法(すべての種類の金融商品に関して,単一の測定方法(公正価値)を用いる)IASB は,すべての種類の金融商品に関して,単一の測定方法を用いることで,今日のすべての問題に対処できるわけではないことを示しつつも,この方向性が重要な一歩であるとしている10。この説明を行うために,この節をA,B,C という3 つのパートにわけている。パートA では,公正価値がすべての金融商品の測定に適しているかについて説明がなされ,パートB では,金融商品に公正価値測定を用いることへの懸念が示されており,パートC では,金融商品会計基準の適用範囲内にあるすべての金融商品を公正価値で測定することを提案する前に,解決すべき問題について述べられている11。ASBJ は,この節における質問8 から12に対するコメントの中で,金融商品を単一の方法で測定し,差額を純利益で認識することに反対している。また,日本公認会計協会は同じ質問に対するコメントの中で,単一の方法による測定については検討の余地があるとしつつも,その差額を損益で認識することに懸