高知論叢102号

高知論叢102号 page 28/222

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26 高知論叢 第102号これらの問題に対応する会計基準設定の手続きとして,IASB とFASB はディスカッション・ペーパーではなく公開草案で検討すべきであること,また,その過程において,投資家,規制当局,金融監督....

26 高知論叢 第102号これらの問題に対応する会計基準設定の手続きとして,IASB とFASB はディスカッション・ペーパーではなく公開草案で検討すべきであること,また,その過程において,投資家,規制当局,金融監督者(supervisors),そして他の利害関係者(stakeholders)と協議しなければならないことが勧告された。? 公正価値の測定と開示の改善14IASB は,市場がもはや活発でない場合の金融商品の評価のガイダンスを強化する(enhance)ことを求められた。加えてIASB は,専門諮問パネル(expertadvisory panel)を2008年に設置するよう勧告された。この専門諮問パネルは,ⅰ評価技法の範囲におけるベスト・プラクティスの検討,ⅱ市場が活発でなくなった場合における,金融商品と関連する開示の評価方法の健全な実務の指針の作成(formulating)という2 点を行うものである。? 2008年4 月のFSF の提言に対するIASB の対応IASB は,上記のFSF からの改善要請のすべての項目について対応をした。開示に関連する問題については,国際財務報告基準(IFRS)第7 号を改訂することが検討され,とくに公正価値情報の開示については,アメリカ財務会計基準ステイトメント(SFAS)第157号「公正価値測定」で示されたヒエラルキーに分類して開示することが検討された15。また,2008年5 月,IASB は設置要請があった専門諮問パネルを組織した16。その後,専門諮問パネルは,市場が活発でなくなった場合における金融商品の評価方法についての指針について検討を始め,検討の結果,専門諮問パネルは,「IAS 第39号(金融商品:認識及び測定)の公正価値測定に関する規定とガイダンスは全般的に明確であり,公正価値による測定に至るために用いられているアプローチには首尾一貫性があることが認識された17」と表明をした。ここで示された方向性は,公正価値測定を否定するものではなく,公正価値測定を支持するものであった。この検討の結果は,2008年10月に報告書「市場が活発でなくなった金融商品の公正価値測定と開示(Measuring and disclosingthe fair value of financial instruments in markets that are no longer active)」として公表された。