高知論叢102号

高知論叢102号 page 31/222

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国際会計基準審議会の金融商品会計基準プロジェクトにおける金融危機への対応29ASBJ は,2008年11月13日に実務対応報告公開草案第29号「債権の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い(案)」を公表した。この公開....

国際会計基準審議会の金融商品会計基準プロジェクトにおける金融危機への対応29ASBJ は,2008年11月13日に実務対応報告公開草案第29号「債権の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い(案)」を公表した。この公開草案に対するコメントには,国際協調の一環として賛同する意見がある一方で,区分変更を認めることは恣意性の増加につながり,財務報告の透明性の低下や財務諸表の比較可能性の低下といった理由から反対する意見も見られた。公開草案への意見を踏まえ,ASBJ は,2008年12月5 日に図表2 に示したように区分変更を認める内容で,実務対応報告第26号「債権の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」を公表した。実務対応報告第26号は,2010年3 月31日までの適用とされ,適用期間終了をもって廃止された。? 2008年10月のIAS 第39号とIFRS 第7 号の改訂後のIASB の動向2008年10月に開催されたIASB とFASB の合同会議において,IASB とFASB が共同でこの金融危機に対応することが合意された。その内容は次のとおりである19。① 金融危機諮問グループ(FCAG:Financial Crisis Advisory Group)の組成(2008年12月)② 東京,ロンドン,ノーウォークでの円卓会議の開催(2008年11月から12月)③ 金融商品の報告のための長期的な共通の解決策の策定(これまでの金融商品ワーキンググループの再編)? 2008年11月のG20首脳会合の要請とIASB の対応リーマン・ショックへの国際的な対応として,2008年11月,ワシントンにおいてG20首脳会合(第1 回金融・世界経済に関する首脳会合(Summit ofFinancial Markets and the World Economy))が開かれた。この中で,IASBが対応すべきものとして次のような要請がなされた20。① 世界の主要な会計基準設定主体は,特に市場の混乱時における,複雑な流動性のない商品の価格評価も考慮に入れて,証券の価格評価のガイダンスを強化するための作業を行う。② 会計基準設定主体は,非連結特別目的会社のための会計及び開示の基準に