高知論叢102号

高知論叢102号 page 32/222

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30 高知論叢 第102号関する脆弱性に対処するための作業を大きく進展させる。③ 規制当局及び会計基準設定主体は,市場参加者に対する金融機関による複雑な金融商品の義務的開示を強化する。④ 金融の安定を促進す....

30 高知論叢 第102号関する脆弱性に対処するための作業を大きく進展させる。③ 規制当局及び会計基準設定主体は,市場参加者に対する金融機関による複雑な金融商品の義務的開示を強化する。④ 金融の安定を促進する観点から,特に透明性,説明責任,及びこの独立主体と関係当局との適切な関係を確保するために,その構成員の見直しを含め,国際会計基準設定主体のガバナンスを更に強化する。2009年3 月の時点で,IASB は,これらの要請に対して次のような対応をとっていた21。① 投売り状態の市場における公正価値の適用に関する改訂ガイダンスを公表した。公正価値測定と開示に関する,より一般的なガイダンスは改訂中であり,2009年上半期に公開草案を公表するとしていた。② 非連結事業体の連結に係る会計基準の変更に関する協議文書を公表した。認識の中止に関する取り組みを加速しており,2009年上半期に公開草案を公表するとしていた。③ 公正価値評価と流動リスクに関する情報の改善を含め,金融商品に係る開示を改善する提案を公表した。④ IASB の理事を16名にまで拡大することに合意し,地域的多様性についてのガイドラインについては策定中であるとしていた。4.  2009年4 月G20首脳会合の要請とIASBの対応2009年4 月2 日に開催されたG20首脳会合(第2 回金融・世界経済に関する首脳会合)において,金融監督及び規制の強化のためにFSF の権限を強化した金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)が設置された。また,会計基準設定主体に対し,評価及び引当金(valuation and provisioning)に関する基準を改善し,単一の質の高いグローバルな会計基準を実現するため,監督当局及び規制当局と緊急に協議することが求められた22。会計基準の問題については,「金融システムの強化に関する宣言」の中で次のように述べられている23。