高知論叢102号

高知論叢102号 page 35/222

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国際会計基準審議会の金融商品会計基準プロジェクトにおける金融危機への対応335.  2009年金融安定化フォーラム(FSF)報告書2009年4 月,FSFは「金融システム強化のための提言及び基本原則」(FinancialStability ....

国際会計基準審議会の金融商品会計基準プロジェクトにおける金融危機への対応335.  2009年金融安定化フォーラム(FSF)報告書2009年4 月,FSFは「金融システム強化のための提言及び基本原則」(FinancialStability Forum Issues Recommendations and Principles to StrengthenFinancial Systems)というプレスリリースと「金融システムにおける景気循環増幅効果25への対応」(Report of the Financial Stability Forum on AddressingProcyclicality in the Financial System)という報告書を公表した。この報告書は,2009年4 月に開催されたG20首脳会合にあわせたものであり,景気循環増幅効果を緩和するために,①自己資本比率の見直し(バーゼルⅡの見直し),②貸倒引当金の見直し(発生損失モデルの見直し及びバーゼルⅡの見直し),③価格評価及びレバレッジの制限について勧告をしている。とくに③では,会計基準設定主体に対して次のような勧告を行っている。 会計基準設定主体及び金融機関監督当局は,価値評価を支えるために必要なデータやモデリングが脆弱な場合には,公正価値評価される金融商品に関する評価性引当金(valuation reserves)又は調整項目(adjustments)の利用を検討すべきである。(勧告 3.4) 会計基準設定主体及び金融機関監督当局は,公正価値会計に潜在的に関連する逆作用効果(adverse dynamics)を鈍くする(dampen)よう,適合する基準を変更する可能性を検証するべきである。この潜在的な影響を減らすための可能な方法には次のようなものがある。・ 会計モデルを強化することにより,信用仲介機関(credit intermediaries)の金融商品における公正価値会計の利用を注意深く検討する。・ 金融資産カテゴリー間の移動。・ ヘッジ会計規定の簡素化。(勧告 3.5)ここにおいて,IASB は景気循環増幅効果を緩和することを含めた会計基準の作成を検討する必要性が生じたのである。しかし,当時のIASB の議長は,