高知論叢102号

高知論叢102号 page 38/222

電子ブックを開く

このページは 高知論叢102号 の電子ブックに掲載されている38ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
36 高知論叢 第102号・ 景気循環増幅効果を緩和する(mitigate)努力の一端として,早期にローン・ポートフォリオにおける信用損失(credit losses)を認識するために,現行の引当金規定よりもより広範囲の利用可能....

36 高知論叢 第102号・ 景気循環増幅効果を緩和する(mitigate)努力の一端として,早期にローン・ポートフォリオにおける信用損失(credit losses)を認識するために,現行の引当金規定よりもより広範囲の利用可能な信用情報を取り入れること。・ 金融商品とその評価の会計減損を簡素化し,改善すること。我々は,とくに金融仲介機関(financial intermediaries)の貸付活動(ローン,負債商品の投資を含む)に関して,公正価値の利用を拡大しない方法で作業を継続することを支持する。2009年2 月,IASB の上位組織であるIASC 財団(IASC Foundation)は,IFRS 財団(IFRS Foundation)と名称を変えるとともに,IASB や関連する組織体制の変更を行った。また,IASB は,2009年7 月に公開草案「金融商品:分類と測定」を公表した。ここにおいてIASB に対する経済的,政治的な風あたりは弱まったと考えられる。しかし,この報告書で要請されている単一の会計基準を作成する努力については,2009年7 月のIASB 公開草案の公表後,FASB では,原則としてすべての金融商品を公正価値で測定し,例外的にある状況下の自社の負債については,償却原価で測定することができるというIASB の提案と異なるアプローチを検討し始めた36というように,IASB とFASB の金融商品会計基準に対する考え方の違いが表面化するようになってきた。FASB が2010年5 月に公表した公開草案「金融商品の会計とデリバティブ及びヘッジ活動の会計の改訂:金融商品(Topic825)及びデリバティブとヘッジ(Topic815)」では,金融商品の全面的な公正価値測定の提案がなされた37。この提案に対して,当時のIASB の議長は,「明らかに受け入れられるものではありません38」と述べている。8. IASB の金融商品会計基準IASB の金融商品会計基準のうち主なものとして,IAS 第32号「金融商品:表示」,IAS 第39号「金融商品:認識と測定」,IFRS 第7 号「金融商品:開示」,IFRS 第9 号「金融商品」をあげることができる。IFRS 第9 号は,2013年1月