高知論叢102号

高知論叢102号 page 44/222

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42 高知論叢 第102号?については,金融商品から生じるリスクとそれらがどのように管理されているかに関して開示を求めるものであり,ここでいうリスクとして,信用リスク,流動性リスク,市場リスクをあげているが....

42 高知論叢 第102号?については,金融商品から生じるリスクとそれらがどのように管理されているかに関して開示を求めるものであり,ここでいうリスクとして,信用リスク,流動性リスク,市場リスクをあげているが,開示されるリスクはこれらに限定されないとしている56。IFRS 第7 号の開示項目は,IFRS 第9 号と密接に関わっているため,IFRS第9 号が改訂されるとその改訂内容に該当するIFRS 第7 号の規定が変更(改訂,追加,削除)されることとなる。2010年のIFRS 第9 号の改訂により,公正価値オプションを適用した金融資産と金融負債に関するIFRS 第7 号の規定について変更が行われた。おわりにIASB とFASB の金融商品会計基準プロジェクトは,ディスカッション・ペーパー「金融商品の報告における複雑性の低減」にみられるように全面的な公正価値測定の導入を中心に進んできたといえる。しかし,金融危機により会計基準がその一因として取りあげられ,とくに公正価値測定が問題とされたため,IASB とFASB はこの方向性について,再検討する必要が生じた。IASB は,FASB と協力して政治的な要請に対応し,会計基準が金融危機の原因ではなく,問題とされた公正価値による会計処理についても,IAS 第39号の置き換えプロジェクトを進めることでその妥当性を説明してきた。これまで,金融商品会計基準における公正価値測定の問題は,算定された公正価値の信頼性や測定方法の選択,その適用範囲など多岐にわたり議論されてきたが,本質的には公正価値の変動を損益に含めるか否かという点にあったと考えられる。このことは,損益情報の重要性や機能が国によって異なっていることや実務上の問題から生じている。今回の金融危機により,金融商品会計基準が再検討されたが,投資家への有用な情報提供を行うというIASB の立場は変わることがなく,また,金融商品を公正価値で測定するという方向性も変わることがなかった。しかし,近年,IASB とFASB の金融商品会計基準作成に対する考え方に