高知論叢102号

高知論叢102号 page 91/222

電子ブックを開く

このページは 高知論叢102号 の電子ブックに掲載されている91ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
地下水法の現状と課題89員10人以内をもって組織することとされてい」た( 6 条)42。1995年5 月10日,県は廃掃法15条1 項に基づいて原告に許可を与えた。しかし,本件施設は町の水道水源に当たる二本の河川の支流か....

地下水法の現状と課題89員10人以内をもって組織することとされてい」た( 6 条)42。1995年5 月10日,県は廃掃法15条1 項に基づいて原告に許可を与えた。しかし,本件施設は町の水道水源に当たる二本の河川の支流から1 日当たり95?の採取を計画していた。さらに,1995年5 月31日,町は本件施設が水道水源を枯渇させるおそれのある施設である旨の認定を行い,本件処分場の建設を禁止した(本件処分)。そこで,原告は,町による本件処分の取り消しを請求した。3-4-2 最高裁判決及び差戻し控訴審判決差戻し前の高裁は原告の請求を棄却したが,最高裁は判決を覆し,高裁に差し戻した。最高裁は次のように判示した。水源に影響を与えるおそれがある施設の認定が委員会への諮問に基づいて行われ,仮に認定処分が行われると事業者の権利が重大な制限を受けることに鑑みると,協議は本件条例において最も重要な手続である。また,町は,原告が条例制定時点で既に事業計画を提出しており,条例制定前に行われた処分場設置申請のための事業計画の提出によって原告の事業計画を知ったという事実を尊重しなければならない。さらに,町は,廃棄物処分場の必要性と水源保全の必要性を衡量すべき立場にあった。したがって,町長は原告が採取量を制限するように事前協議を行うという手続的権利を尊重すべき立場にあった。この権利を尊重せずに行われた決定は違法である。町がこの権利を尊重したかどうか明らかではないため,本件を高裁に差し戻す。差戻し後の高裁は,町長が申請者の手続的権利を尊重しなかったことを理由に原告の請求を認容し,最高裁は,2007年6 月7 日に被告町の上告を棄却し,判決が確定した43。3-4-3 私 見本件最高裁判決の結論は支持するが,次に述べるように理由には一部反対する。42 津地裁1997・9・25判タ969号161頁(本件一審判決)。43 本件の原告による逸失利益等の国家賠償請求は,2011年11月現在も津地裁に係属中である。